[かむカム04号/1992年07月]より 歯のまめ知識かむカム童話

歯のあるはなし

さっちゃんは、好き嫌いが多く、なかでもあまいおかしが大すきでチョコレートやキャンディーならいくらでも食べたい小学校一年生の女の子です。

今日もタ食を「お魚嫌い、にんぎん嫌い」はんぶんいじょうのこし、歯みがきもしないまま寝てしまいました。

さっちゃんが眠った後、おロの中では、子供の歯と大人の歯がひそひそとお話しをしています。子供の歯が大人の歯に向かって「君、最近生えてきたばかりなのに、すごーく汚れているね。」と心配そうです。大人の歯は「そうなんだよ。このままじゃ虫歯菌がいっぱい集まってきて、虫歯になっちゃうよ。」と困っているようです。子供の歯は「僕も前に、虫歯でとっても痛くなって治したんだよ。僕はもうすぐ抜けてしまうけど、後から生えてくる大人の歯は大丈夫かな。」とイライラしています。

大人の歯は「今から大人の歯を虫歯にするようだと、おばあちゃんになる頃には、歯が一本もなくなっちゃうのにね、さっちゃん、分かっているのかな。」ため息まじりでつぶやきました

翌日、さっちゃんは朝食後、洗面所で、一生懸命に歯磨きしています。その姿を感心して見ているママに向かって、「私の歯が、お話ししている夢を見たの。それでね、大人の歯は一生使う歯だからよーく歯磨きして大事にするの。」と胸をはりました。ママが「その通りよ。それに、虫歯菌の好きな甘い物も少なくして、歯のために好き嫌いなく何でも食べないとね。」とやさしくほほむと、さっちゃんは「はーい。」と元気よくうなずきました。

その日のさっちゃんは、甘いお菓子を少しにして、タ食は残さず食べ、寝る前には、歯磨きもきちんとできました。
その日の夜、さっちゃんが眠った後、おロの中では、また子供の歯と大人の歯がひそひそとお話しをしています。子供の歯は「僕もそうだけど、みんなピカピカできれいになって、よかったね。」とうれしそうです。大人の歯は「さっちゃんは夢の中のことなのに、本当に気付いてくれたね。このまま続けてくれれば、歯のあるおばあちゃんにきっとなれるね。」と安心したようです。

その時、なぜか、さっちゃんの寝顔が、楽しい夢でも見たのか、いっしゅん、ほほえみました。

文 あびる のぶこ 絵 てらだ のぼる