日本のふしぎな風習“お歯黒”

 中国の書『魏志倭人伝』に、「東方に黒歯国あり」
と書かれていたように、日本では古くから歯を黒く染
める風習があった。平安時代には、公家や上流階級
の男子は13歳の元服、また女子は13歳、18歳の眉
抜きやかねはじめなど、成人の儀式として歯を黒く染
めて(かねつけともいう)いた。
 江戸時代になると、庶民の女子も既婚のあかしと
して結婚と同時に歯を黒く染めた。
 黒は、他の色に染まらないため、「二夫にまみえず」
という貞節の意味があった。 


  


浮世絵にみるお歯黒(江戸時代)


 お歯黒や房楊枝で歯をみがく風習は、江戸時代や明治期
の浮世絵に多く残されている。
 この浮世絵(歌川豊国)には、朝の化粧風景として「かな
だらい」の上の「渡しがね」に、「かね椀」「ふし粉箱」をのせ、
「かね沸かし」を右手に持って、お歯黒をつけようとしている
女性が描かれている。

 

             

                                                 
浮世絵にみるお歯黒(明治時代)

 この浮世絵(月岡芳年)は、明治期の嫁入り前
の風景で、祝儀の酒樽がおかれ、かねつけをし
ている女性が描かれている。
 開国した明治政府は、外国人より“お歯黒は
女性差別”と非難され、明治元年、3年、6年に
大政官布告で、皇族、華族の「眉剃りとお歯黒
の禁止令」を出した。
それ以後、庶民の間でもお歯黒の風習は徐々に
すたれていった。

 

                                  
  もどる    すすむ    歯の博物館入り口へ