噛むことが大切な4つの理由~口は健康の入り口です~

口は健康の入り口といわれます。お口のなかの健康を保つことは、私たちが健康に生きていくためにとても大切な心がけです。

子どもの頃から、「よく噛んで食べなさい」といわれてきた方々も多いことでしょう。

よく噛んで食べること――このことは、思いのほか私たちの健康と密接に関係しているのです。

よく噛むことは健康づくりの基本

よく噛むことは健康づくりの基本

噛むことの役割は、単に食べ物を細かくして胃に送り込むということだけではありません。私たち歯科医の間では、以前からよく噛むことについて、次の4つの効果が認識されていました。

1つ目の効果は、皆さんもよくご存じのように、胃腸のはたらきを助けるということです。

食べ物をよく噛みくだき、消化酵素が含まれただ液と混ぜあわせて食べることで、胃腸への負担をやわらげてはたらきを活発にし、消化を助ける効果が期待できます。

2つ目の効果は、歯の病気の予防に役立つということです。

よく噛むと、だ液の分泌が活発になります。だ液にはお口のなかをきれいにする自浄作用があり、汚れが溜まって有害な細菌の温床となるのを防いでくれます。

また、だ液には有害な細菌とたたかうペルオキシダーゼと呼ばれる酵素が含まれており、むし歯や歯周病の予防につながります。

3つ目の効果は、脳の機能を高めるということです。

よく噛むことにより脳が刺激され、血行がよくなるため、栄養と酸素が十分に供給され、脳の機能が活発になる効果が期待できます。

また、日ごろからしっかり噛んで食べている人は、脳が活発にはたらくため、注意力や集中力、バランス能力が高く保たれる可能性があります。

こうしたことから転びにくくなり、転倒、骨折から寝たきりになるリスクが軽減され、認知症の予防も期待できるかもしれません。

4つ目の効果は、肥満の予防に役立つということです。

実は、よく噛んで食べると食欲抑制のメカニズムがはたらきます。このことにより、食べ過ぎに自然とブレーキがかかり、ダイエット効果が生まれて生活習慣病の予防が期待できます。

入れ歯になると噛む力は3分の1に

入れ歯になると噛む力は3分の1に

こうした4つの効果に加え、最近注目されているのは、よく噛むことによりがんの予防に役立つのではないかということです。

先述のだ液に含まれるペルオキシダーゼという酵素は、有害な細菌とたたかうばかりではなく、食べもののなかの発がん性物質がつくりだす活性酸素を消去する作用があると指摘されています。

また、よく噛むことで目の周りの筋肉が刺激され、血行がよくなることで、視力低下の予防にもつながると考えられています。

このように、よく噛むことは私たちの健康に大きく関わっています。

よく噛むために必要なのは、当然のことながら健康な歯です。むし歯や歯周病で歯を失って入れ歯になると、噛む力は3分の1程度にまで低下してしまうといわれています。

歯医者さんからのメッセージ

健康で丈夫な歯を保つためには、日ごろがから歯に関心をもち、正しい歯みがきのしかたを身につけて習慣づけることが大切です。

また、かかりつけの歯医者さんを定期的に受診し、歯の健康を保つことをお勧めします。

口は健康の入り口です。お口のなかの健康を保ちながら、いつも笑顔で時を刻むことは健康長寿につながると考えています。

神奈川県歯科医師会・厚木歯科医師会会員
横田歯科医院 横田 剛

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