「3つの目」で子どもをむし歯から守ろう

「子どもの歯をむし歯から守る」ことが大事であることはもちろんわかっていても、ではいったい何をどうすればいいのか、日々悩むお母さんお父さんも多いことと思います。
実はいちばん肝心なのは、「3つの目」を上手に活用すること。

「3つの目」とは、「保育園・幼稚園・学校の目」「歯科医師の目」そして「親の目」のことです。ご両親ばかりが責任を背負い込む必要はありません。3つの目それぞれで役割をうまく分かち合いながら、お子さんがむし歯になるのをしっかり防いでいきましょう。

第1の目「保育園・幼稚園・学校の目」

子どもをむし歯から守る3つの目。その最初は、ふだんお子さんが通っている保育園や幼稚園、小学校の目です。この第1の目をぜひ最大限に活用しましょう。
保育園、幼稚園、学校では年に1~2回、必ず歯科検診があります。歯科検診は、学校に通いながらにして、専門の歯科医師のチェックをしてもらえる大変便利な仕組みです。実際、歯科検診で、むし歯があるかどうか、歯肉に炎症がないかどうか、また歯のかみ合わせが良くないケース、口の中の粘膜の状態の異常など、口の中全体を診て異変がないかどうかを見つけることができます。

このように、多くの皆さんは、学校での歯科検診を「歯の異変を見つけてくれる格好の機会」ととらえているかと思います。それはもちろん正しいのですが、最近は違う役割を担うようになってきています。
その役割とは、「啓蒙」。つまり「歯を大切にしよう」という意識をしっかりと子どもたちに植え付ける、ということなのです。
年に1~2回、学校全体で歯の大切さを考え、どうするとむし歯になってしまうのか、日頃の歯のケアの積み重ねがいかに大事か、といったことを、専門の歯科医師も交えて子ども一人一人にしっかりと伝えられる場はきわめて貴重です。歯科検診によって、歯を大切にする意識をお子さんに根付かせることができれば、今度はそれが日常の生活の中に活きてくるのです。

 

歯科検診のあとは声かけのビックチャンス

ですので、歯科検診があったときは、お父さんお母さんにとっても、お子さんに声をかけるビッグチャンスです。
検診が無事に済んだら、まずお子さんに「むし歯が見つからなくて本当に良かったね」とぜひ言ってあげてください。
そして、「歯がとっても大事なことがよくわかったでしょ。毎日歯みがきをしっかりやろうね」、というフォローもしっかり言っていただくと、より効果的です。お子さんの歯のケアへの意識が高いうちにおうちでもさらに声がけをして、その意識を定着させていけるといいですね。
こうして、保育園や幼稚園、小学校の「第1の目」を、お子さんたちの歯への意識向上につなげていけば、毎日の歯のケアがより実のあるものになっていくと思います。

第2の目「歯科医師の目」

第2の目は、歯医者さんの目です。
皆さんにとってはもしかしたら、歯科医院とは「歯の治療をするところ」というイメージがいまだに強いのではないでしょうか。
それはもちろんそうなのですが、最近の歯科医院の役割は、実際にはこれまでと大きく変わってきています。
どういうことかいうと、歯医者さんは「治療するところ」から「予防をするところ」へと変化してきている、ということなのです。
もちろん治療も歯科の大きな柱ではありますが、そもそも治療しなくてはいけないのは歯や口の中に病気が出来てしまうから。それよりも、病気ができないように「予防」できればそれがいちばんです。歯医者さんは、むし歯や口の中の病気を予防するための最前線基地になってきているのです。

歯医者さんは「ほめてもらう場所」

そのために大切なのは、歯医者さんに定期的に通う、ということ。そして、歯医者さんは、「お子さんの歯は大丈夫なのだ」と確認するところ、というふうに考えてみてください。

お子さんには、「ちゃんと歯みがきが上手に出来ていることをほめてもらえる場所」とぜひ声をかけてみてください。そうすることで、歯科医院を怖い場所ではなく、自分の歯を大切にしていることをうれしいと感じられる場所なのだと思ってもらうことが大事です。
実際に歯科医院でチェックしてむし歯も何もなければ、きっと先生もほめてくれるはず。そうしたらご両親もぜひ、「良かったね、先生もほめてくれたね」とダブルでほめてあげましょう。
お子さんはきっとやる気を出して、さらにしっかり歯をみがいてくれるはずです。

また歯科医院でハミガキ指導を受けたり、フッ素塗布やシーラントを行うことも、むし歯から歯を守るうえで効果的です。
もちろん、歯科医院での定期的なチェックによって、歯や口の中にむし歯など何らかの異変が見つかれば、すぐに治療に入ることもできるのも大きなメリットです。早い段階で問題が見つかれば、治療も複雑にならずに済むことも多いものです。
歯科医師の目、定期的に通院することでぜひ積極的に活用してください。

第3の目「親の目」でお子さんに愛情を注ごう

お子さんをむし歯から守る3つの目、その最後は、もちろんご両親の目です。
でも、それまでの2つの目の活用がされていれば、お父さんお母さんも負担はそこまで大きく感じずに済むのではないでしょうか。
その分、日々のちょっとしたことに気を遣ってあげるといいでしょう。

まず小さなお子さんの場合、歯みがきの際にはお父さんお母さんが仕上げ磨きをしてあげまよう。お子さんとのスキンシップを育む貴重な時間になります。
お子さんがきれいに字を書けるようになれば、手先の器用さも出てきて歯ブラシも上手に動かせるようになってきますので、そのころまで仕上げ磨きをしてあげるといいでしょう。
また、おやつにも少々だけ気を配りましょう。それは、おやつの時間を決めておく、ということです。
歯の表面は食べ物によってわずかに溶け、また石灰化することを繰り返しています。だらだらと食べていると歯が再石灰化をする時間が無くなってしまいます。おやつを食べる時間を、例えば「毎日3時から15分間」、というように決めておき、おやつのあとは必ず歯みがきタイムとすれば、むし歯を防ぐのに大変効果的です。
 いちばん身近にいるご両親の目が、お子さんに愛情たっぷりに注がれるといいですね。

終わりに

お子さんの歯をむし歯から守る3つの目。これらを上手に連携させていくことがとても大事です。保護者の方もぜひ、学校、そして歯科医師と手を携えながら、3つの目をしっかり役割分担することで、一緒にお子さんの歯を守っていきましょう。

神奈川県歯科医師会・横浜市歯科医師会会員 石川葉仁

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