[かむカム20号/2000年09月]より 歯のまめ知識かむカム歯の話

新しい口腔保健

1. 健康づくりの3要素(栄養・運動・休養)を生活の基本にして、身の回りのことが自分ででき、
社会活動にも積極的に参加できる80歳になろう

健康に長生きしたいというのは万民共通の願いです。そのためには、健康的な生活習慣を身に付けることが基本です。栄養については、摂取カロリーと消費カロリーのバランスをとりながら、食物繊維、緑黄色野菜、魚のDHA、カルシウムの摂取に心がけましょう。さらに節酒と禁煙が健康づくりに欠かせないことは言うまでもありません。運動不足は肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化、骨粗鬆症、老年期痴呆の原因になります。自分の体力に合わせて、歩くことから始めましょう。ストレスや疲労に気づいたら、早めのリフレッシュと疲労回復が大切です。
日常的に十分な睡眠をとり、ゆっくりと入浴し、たまには旅行をしたり、親しんで気分転換をはかりましょう。さらに現代では、加えて、歯と口の健康の大切さが強調されています。ところが、これらの3要素に加えて、歯と口の健康の大切さが強調されています。ところが人の寿命に比べて歯の寿命は短すぎるのです。歯の健康は全身の健康にも影響しており、生き生きと何でもおいしく食べられて、QOL(QualityofLife:生命の質)アメニティ(快適さ)の高い生活を送ることができるかどうかに関わってきます。
性別平均寿命歯の寿命
男子77才46−65年
女子84才44−62年

2. 歯とロの健康の大切さを見直してロ腔疾患の予防に努めよう

噛むことには、
  1. 脳の血流増加と活性化(ボケ予防・記憶力アップ)
  2. 肥満・糖尿病.骨粗懸症の予防
  3. 唾液が活発に分泌されて、ガン・むし歯.歯周病の予防
という働きがあり、噛み合わせの不調和が、偏頭痛、不眠、肩こりなどの不定愁訴をもたらすと言われています。自分の歯をできるだけ長持ちさせることは、生き生きとした老後を作る上での条件の1つですし、高齢社会に向けての歯科の重要課題でもあります。

今や、むし歯も歯周病も正しい方法を実行すれば、ある程度(むし歯についてはかなり高率)の予防が可能であることがわかっています。ところが、予防とはこれからできるであろう不都合を未然に防ぐことであり、その「ありがたみ」が実感しにくいため、なかなか実行できないものです。予防は単に治療費を節約できるというだけのものではありません。一生涯自分の歯で噛めるという高い生活の質につながりますし、治療後の再発、再治療も必要なくなります。これらのことを理解した上で、自分自身で実行することが大切です。

3. 現代の「かかりつけ歯科医」を上手に利用しょう

最近になって医療保険に導入された「かかりつけ歯科医」とは、痛い時や困ったときに、「いつでも気軽に診察して治療してくれる」というだけでなく、「病気にならないための予防」や「より健康になるための指導と管理」をしてくれる歯科医院を指します。今から、家族ぐるみで歯と口についての専門的な健康管理をしてもらえる歯科医院を捜しておきましょう。

4. 口の中は特殊!歯と歯ぐきを守るとともに、治療した歯はメインテナンスが肝心

口は大切な消化器官ですが、適度な温度と湿り気、それに豊富な栄養があるため、バイ菌にとっては格好の住みかとなります。ところが歯にとっては厳しい環境なのです。歯は体の中で最も硬い組織(エナメル質〕で覆われていますが、意外にも酸の攻撃にはひとたまりもなく溶けてしまいます。飲食品には、この酸性のもの以外に、熱いもの、冷たいもの、硬いものなど様々なものがあり、それらの攻撃を常に受けますし、噛むという外力もかかります。
このように厳しい環境にさらされている歯を病気から守ってあげることはもちろんですが、治療した歯であっても安心は禁物です。修復物にも寿命がありますし、むし歯を治療したのにまた悪くなることもあります。治療後のメインテナンス(自分で行う日常のお手入れと歯科医による定期的なチェック)にも注意が必要です。さらに、口の中は硬い歯と軟らかい歯肉や粘膜が共存しているので、その分お手入れの方法も複雑で大変手間がかかります。

5. 歯と歯ぐきの大敵はプラーク(歯垢)!上手にプラークコントロール

飲食物の糖をバイ菌が利用してできるベタベタした物質がプラークであり、その中でバイ菌が増え種々なトラブルを引き起こします。歯の喪失に直結するむし歯と歯周病の共通の原因もプラークです。ところが、歯についているかどうか判別しにくいですし、ウガイをしたぐらいではとれません。したがって、人為的にどうにかしなければなりません。それがプラークコントロールです。

プラークコントロールには、

  1. できるだけプラークが付着しないようにする。
  2. 付着したプラークをできるだけ除去する。
  3. 除去しきれなかったプラークの病原性を低める。

の3つがあります。
1については糖分(ことに砂糖)摂取のコントロール、2については歯磨き、3.についてはフッ素や殺菌剤の利用があり、そのすべての面からプラークコントロールに取り組むべきです。

6. 歯磨きといっても多種多様!上手にロ腔ケアグッズを利用しよう

歯ブラシは用途と年齢に合ったものを選びます。歯面を磨くのか歯周ポケットなのかによって種類が異なりますし、植毛の列数、毛の硬さ、ヘッドの大きさなども選ばなければなりません。
持ち方はパームグリップとペングリップがあります。また、歯に対してできるだけ直角に当てて小刻みに動かし、200〜300g程度の力を入れます。とはいっても、個人によって微妙に違えた方がよい場合がありますので、歯科医にお口をチェックしてもらった上で、個人的な指導を受けて下さい。
歯間部清掃グッズには、歯間ブラシ(SS、S、M、L)とデンタルフロス(ホルダー付タイプ、指にま きつけるタイプ)があり、歯ブラシではプラークの取りきれない歯と歯の間の清掃に有効です。歯磨き剤にはフッ素入り、歯肉炎・歯周炎用、知覚過敏用、口臭予防、タバコのヤニ用などがあり、自分の症状に合ったものを選択できます。
ご自分の歯が残っている方には、ぜひフッ素入り歯磨き剤を利用していただきたいのです。むし歯はこどもだけの病気ではなく、成人は歯間部、高齢者は歯の根の部分というように、年齢とともにできやすい場所が変化します。フッ素入りであれば、薬用成分の欄に「フッ化ナトリウム」、「モノフルオロリン酸ナトリウム」、「フッ化第一スズ」のいずれかが記載されています。

フッ素入り歯磨き剤の使用法

  1. プラシの半分以上に歯磨き剤をつける。
  2. 3分間は磨く。
  3. 磨き終わってからのロすすぎが過度にならないように、水をロに含み4秒間程度のウガイ2〜3回を目安にする。
  4. 磨き終わってからすぐの飲食を慎む。
神奈川歯科大学口腔衛生学教授荒川浩久