顎関節症って治るの!?
- 2024/04/17
- 歯とお口の基礎知識
顎関節症の主な症状
あごに痛みがある、口を大きく開けづらい、口を開閉するとカクカクと音がするなどの不快な症状に悩まされていませんか。このような症状が1つでもあれば、顎関節症(がくかんせつしょう)かもしれません。顎関節症は決して珍しい病気ではなく、必要以上に心配する必要はありません。しかし食事や会話がしづらいなど、日常生活に支障をきたしている場合は、一度かかりつけの歯科医に相談してみましょう。
顎関節症の原因はさまざま
顎関節症はこれまで噛み合わせや歯ぎしりが原因ではないかと考えられてきました。しかし現在では精神的なストレスや生活習慣をふくめ、多くの要素が絡み合って発症するのではないかと考えられています。
歯ぎしりや食いしばりなどの癖や対人関係のストレス、片側だけで噛む癖や、堅いものばかり好んで食べる食習慣など、発症するきっかけはさまざま。複数の要素が積み重なって発症する傾向があるため、原因を1つに特定できないのです。
約7割の方が1年以内に改善
顎関節症かもしれないと思い始めると、このままにしていたら大変なことになるのではないかと不安に駆られる方が少なくありません。
しかしあごに違和感がある方のうち、約7割の方が1年以内に症状が改善しているとのデータがあります。痛みがない方は特別な治療をせず、しばらく様子をみても構いません。ただ様子をみているうちに症状が強くなったり、痛みがひどくなったりした場合は、歯科医院を受診しましょう。顎関節症の治療は、内服薬の処方やお口を開く範囲を広げるための関節可動化訓練など理学療法が中心になります。どうしても痛みがコントロールできない場合を除き、手術がおこなわれることは、ほとんどありません。
近年は患者さんの日常生活上の癖や何気ない習慣が症状の出現に関係していることがわかってきました。そのため患者さんご自身も症状を改善するために、生活習慣や癖を見直したり、セルフケアをおこなったりして、積極的に医療に参加する必要があります。
顎関節症に関するQ&A
以下、顎関節症に関してよくいただくご質問にお答えします。
顎関節症には多くの要因があり、噛み合わせだけが原因ではありません。したがって矯正治療で噛み合わせを改善しても、症状が改善するとは限りません。矯正治療が高額であったり、歯を削ったり抜いたりする治療計画を提示された場合は、少し慎重になったほうがよいかもしれません。
顎関節症の治療を行った場合、稀に症状が改善することはありますが、必ず治るとは限りません。肩こりや腰痛が本当に顎関節症に関係するものか、他の病気に原因があるのかを慎重に見極める必要があります。肩こりや腰痛の改善を目的に歯科に来院すると、不要な検査や治療を受けることになるかもしれません。
そのような情報が本や雑誌、テレビのようなメディアに溢れています。全くの誤りでないとはいえ、いずれも科学的根拠(エビデンス)に乏しく、誤解を招く表現になっています。メディアのセンセーショナルな情報は、あくまでも参考程度にとどめておきましょう。
顎関節症の辛い症状でお悩みの方は不確かな情報を鵜呑みにせず、お近くの歯科医院に相談してみましょう。
参考文献
東京医科歯科大学歯学部附属病院 顎関節治療部ホームページより引用、改変
http://www.tmd.ac.jp/dent/tmj/tmj-J.htm
神奈川県歯科医師会・横浜市歯科医師会会員
平成横浜病院 青山 繁