顎関節症って治るの!?

セルフマネジメントする姿勢で治療に臨みましょう

 口を開けようとするとあごが痛い、音がする、口が開けにくいというような不快な症状や不自由さに悩まれている方々は、きっと少なからずおられることでしょう(図)。
 その多くは顎関節症(がくかんせつしょう)と呼ばれ、けっして珍しい病気ではありません。

図 顎関節症の症状

いくつかの原因が組み合わさって症状が出ることが多い

 顎関節症をめぐっては、噛み合わせやストレス、歯ぎしりなどが原因ではないかと指摘されてきました。これまでの研究の結果、顎関節症の症状を1つの原因で説明することは難しいことがわかっています。
 つまりは、顎関節症を引き起こす原因にはさまざまなものがあり、患者さんによってそれらの組み合わせが異なるのではないかと考えられるようになったのです。
 いくつもの因子が積み重なって顎関節症の症状を生じさせ,1人ひとりの患者さんでどのような因子がどの程度関係しているかが異なります。たとえば、ある人は歯ぎしりや食いしばり、社会活動や人間関係などの精神的な問題が組み合わさって顎関節症の症状をきたします。

痛みなどの症状があっても約7割は1年以内に改善

 こんなふうにお話しすると、顎関節症の治療も多岐にわたって難しいものになるとご心配になる方々がおられるかもしれません。
 しかし、一般的には内服薬による治療やお口を開く範囲を広げるための関節可動化訓練などの理学療法が中心になります。外科療法がおこなわれるのは、どうしても痛みがコントロールできない場合のみです。
 最近では、日常生活上のさまざまな因子が症状の出現に関係することがわかってきました。このため、患者さんご自身がセルフマネジメントする姿勢をもって医療に参加する必要があります。

 これまでの調査によると、痛みのないほとんどの方はそのまま様子をみていてもかまいません。また、痛みなどの症状が出ても約7割の方は1年以内に症状が軽減します。顎関節症による不快感や不自由さは、時間が経つにつれてあまり感じなくなることが多いのです。
 1週間ほど様子をみても症状が軽くならなかったり、逆に強くなってきたりするようなら、歯科医院を受診すべきでしょう。

顎関節症をめぐるQ&A

 以下、顎関節症について多く寄せられるご質問にお答えします。

歯にかぶせものをしたり矯正をしたりするして噛み合わせを治すと、顎関節症の症状は改善しますか?

単に噛み合わせを治したからといって、必ずしも症状が改善するとは限りません。特に高額であったり、もとの歯を削ってしまったりというような治療法を提示されたときは慎重になったほうがよいかもしれません。

顎関節症の治療をすると、肩こりや腰痛も治りますか?

そのようなことも稀にはありますが、必ず治るとは限りません。顎関節症の1つの症状として、また間接的に引き起こされる症状として肩こりや腰痛があげられるときがあります。しかし、仮に肩こりや腰痛の治療を目的に歯科に来院されても、かえって原因が分からずに不必要な治療をすることになってしまうかもしれません。

噛み合わせが悪いと身体全体の調子が悪くなるというのは本当ですか?

そのような情報が本や雑誌、テレビのようなメディアで取り上げられることがありますが、いずれも科学的根拠(エビデンス)に乏しいことが多いようです。。

 顎関節症の症状に悩まれている方々は、これを機会に正しい知識を深め、歯科医師との適切なインフォームド・コンセントのもとで治療に臨まれることをお勧めします。

■参考文献

東京医科歯科大学歯学部附属病院 顎関節治療部ホームページより引用、改変
http://www.tmd.ac.jp/dent/tmj/tmj-J.htm

神奈川県歯科医師会・横浜市歯科医師会 会員
平成横浜病院 青山 繁

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