
入れ歯を使っていると、「寝るときは外したほうがいいの?」「安定剤を使い続けても大丈夫?」など、迷うことがあるかもしれません。入れ歯の適切な使い方は、お口の状態や入れ歯の種類によって異なります。今回は、入れ歯に関するよくある3つの疑問について解説します。
■入れ歯は寝るときに外したほうがいい?
入れ歯やインプラントなどによる歯科治療を「補綴(ほてつ)」といいます。その専門部会である日本補綴歯科学会では、入れ歯がのっている粘膜の回復のため、夜間は入れ歯を外すことを推奨しています。
夜間に汚れた入れ歯を外さない場合、残っている歯の歯ぐきの炎症や、粘膜の炎症のひとつである「義歯性口内炎」がおこりやすくなるという報告もあります。この義歯性口内炎は、カンジダという真菌(カビの仲間)が主な原因です。清掃が不十分な入れ歯を夜間着けたままにすると、睡眠中の唾液の減少などの環境変化と相まって、炎症につながるおそれがあります。
では、寝るときに外した入れ歯はどうすればよいのでしょうか。外した入れ歯はきれいに洗い、乾燥による変形を防ぐために水の中で保管することが大切です。ブラシで洗った後に市販の入れ歯用洗浄剤を使用すると、入れ歯に付着する口腔内細菌の殺菌や、ブラシでは落としきれない汚れをとってくれる効果が期待できます。
■夜も入れ歯を着けたほうがよい場合は?
夜間は外すことが推奨されている入れ歯ですが、例外的に寝るときも入れ歯を着けたほうがよい場合があります。たとえば、以下のようなケースがあります。
・歯ぎしりによって残っている歯に強い負担がかかる
・入れ歯を外すと残っている歯が向かい合う歯ぐきに当たり、傷つけてしまう
・かみ合わせなどが原因で顎の関節へ過剰な負担がかかる
・ぐらついている歯を入れ歯で支える必要性がある
これらの場合には、歯科医師から夜間の装着を勧められることがあります。
夜間も着ける場合は、日中都合の良い時に入れ歯を外す時間を作り、粘膜を休ませるよう努めましょう。また寝る前に、入れ歯を流水の下でブラシを使って十分に洗ってから装着することも大切です。夜間に着けるかどうかは、自己判断せず、かかりつけの歯科医師に確認しましょう。
■入れ歯安定剤は使わないほうがいい?
入れ歯安定剤には、大きく分けて「クッションタイプ」と「粘着剤タイプ」があり、それぞれ特徴や適した使い方が異なります。
・クッションタイプ(リライナー)
樹脂系を主成分とするものが多く、ゴムのような性状の安定剤です。入れ歯と顎の粘膜とのすき間が大きく、カタカタとぐらつく場合に、一時的な症状の改善が期待できるでしょう。粘度が高く、入れ歯の内側に均一に広がりにくいため、使うたびに厚みが変わり、入れ歯の位置やかみ合わせがずれることがあります。
・粘着剤タイプ
主にクリームタイプや粉末タイプがあります。唾液などの水分を吸って粘着性を発揮し、入れ歯の内面に薄く均一に広がやすい安定剤です。入れ歯は比較的合っているものの、お口の乾燥などによって外れやすい場合や、何らかの事情で強い吸着力が必要な場合に役立つとされています。
豆粒3~4粒程度のわずかな量を使用するのがよいとされます。使用後は、お口に残った安定剤をガーゼなどで拭き取り、入れ歯も流水の下でよく洗うことが大切です。
■入れ歯の疑問はかかりつけの歯科医師へ
人生100年時代と呼ばれる現代において、かみやすい入れ歯は、食事を楽しみ、生活の質を保つうえで大切です。入れ歯の使い方やお手入れで迷うことがあれば、かかりつけの歯科医師に相談しながら、ご自身に合った方法を見つけていきましょう。
鎌倉市歯科医師会会員 宮本歯科医院 宮本績輔
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宮本績輔神奈川県歯科医師会・鎌倉市歯科医師会
宮本歯科医院


