歯肉マッサージのススメ

歯周病の予防・治療に効果

歯肉マッサージ(歯ぐきのマッサージ)は、歯肉の健康を促進するために有効な方法です。歯周病や歯肉の腫れ、出血などの問題を軽減するのに役立ちます。

歯肉マッサージは、歯科医師や歯科衛生士からの指導のもとで行うことが望ましいのですが、歯肉の腫れや出血などのトラブルがなければ自宅でも行うことができます。

 

歯肉マッサージで期待される3つの効用

歯肉マッサージの主な効用としては、次の3点が期待されます。

1.血行促進 歯肉マッサージは、歯肉の血行を促進する効果があります。血行がよくなることで、歯肉の健康を維持するための栄養や酸素が適切に供給されます。

2.歯周ポケットの浄化 歯周病によって形成される歯周ポケットは、雑菌や食べかすが蓄積しやすい場所です。歯肉マッサージは、歯周ポケット内の汚れを取り除くのに役立ちます。指で歯肉をマッサージすることにより、ポケット内の雑菌や食べかすを取り除くことができます。

3.筋肉の緊張緩和 歯肉マッサージは、口腔周辺の筋肉の緊張を緩和する効果があります。筋肉の緊張が和らぐことで、歯肉の腫れや炎症を軽減することができます。

 

軟らかい歯ブラシや指で優しくマッサージ

歯肉マッサージには、軟らかい歯ブラシを使う方法と手指を使う方法があります。

1.軟らかい歯ブラシでの軽い刺激 軟らかい歯ブラシを使って歯肉を優しく刺激します。軽い円運動や上下運動で歯肉をマッサージします。硬いブラシを使ったり力を入れ過ぎたりしないよう、注意しましょう。

2.適度な圧力と継続性 マッサージの圧力は適度であることが重要です。強い圧力をかけると、歯肉や歯を傷つける可能性があります。また、続けて行うことも大切です。毎日の習慣として続けることで、効果を実感しやすくなります。

3.温水でのうがい マッサージを始める前に温水で口をすすぎます。これにより口内の雑菌を減らし、血行を促進します。

4.指を使ったマッサージ 乾いた清潔な手指を使って、歯肉を優しくマッサージします。歯肉を軽く押し上げるような動きや、円を描くような動きを行います。歯と歯肉の接触点や歯周ポケットにも注意を払いながら、全体的に歯肉を刺激します。

 

歯肉マッサージの効果を上げる注意事項

歯肉マッサージを適切に行ない、効果を上げるためには、次のような注意を守る必要があります。

歯肉が腫れていたり、出血していたりする場合には過度な歯肉マッサージを行わず、歯科医師や歯科衛生士に相談することをお勧めします。

また、歯周病の進行や重症度によっては歯肉マッサージだけでは改善しない場合があります。そのような場合には、専門家の指導のもとで適切な治療を受けることが重要です。

歯肉マッサージは、歯肉の健康維持に役立つ手法の一つです。正しい方法で行い、継続的に取り組むことで、歯周病や歯肉のトラブルを軽減し、口腔の健康を維持することができます。

歯周病のある方はかかりつけの歯科医院で相談し、正しい方法で実践されることをお勧めします。

歯周病のない方も、歯周病や歯肉のトラブルを予防し、歯肉の健康を維持するための有効な手段の1つとして実践されるとよいでしょう。

 

 

歯周病予防のための歯みがきの基本は、歯と歯肉の境に歯ブラシの毛先を45度にして軽く当て、こきざみに振動させること。併せて歯肉マッサージを。
(日本歯科医師会ホームページ https://www.jda.or.jp/park/prevent/index08_04.html

 

 

■参考図書

日本歯周病学会. (2010). 歯周病診療ガイドライン 2010 (第3版). 医歯薬出版.

一般社団法人 日本歯科医師会. (2016). 日本歯科医師会による「歯と口の健康づくり指針2016」. 一般社団法人 日本歯科医師会.

谷川富美子, 鈴木典久. (2005). 歯肉マッサージの意義と方法. 歯界展望, 30(10), 1244-1249.

 

神奈川県歯科医師会・厚木歯科医師会会員 横田歯科医院 横田 剛

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