顎関節症かもしれない!?

あごの症状に悩む方々のためのQ&A

Q 顎関節症とはどのような症状ですか?

 日ごろ、「あごが痛い」「口が開かない」「あごを動かすと音がする」といった不快な症状に悩んでおられる方々も多いことでしょう。
実は、これら3つの症状のうちどれか1つでも当てはまる場合、顎関節症(がくかんせつしょう)が疑われます()。
顎関節症という名称はあくまでも「症状」を示すものであって、病名(診断名)ではありません。
たとえば「あごが痛い」という場合、どこがどのように痛いのか、何が原因で痛むのかによって治療法や対処のしかたが変わってきます。

図 「あごが痛い」「口が開かない」「あごを動かすと音がする」のうち1つでも当てはまると顎関節症が疑われる

Q 顎関節症はどうして起こるのですか?

 顎関節症は、①筋肉の痛み、②関節の痛み、③関節内の軟骨(関節円板)の位置のずれ、③骨の変形などによって生じます。
そのため、たとえば「あご痛いという」場合、どこがどのように痛むのか、痛みの原因が筋肉なのか、関節なのかなどを調べる必要があります。
また、別の疾患による神経の異常や心理的・社会的な因子などが関与していることもあり、これらの点を含め鑑別診断を行うことが求められます。

Q 顎関節症はどのようにして診断されるのですか?

 歯科医院で、学会により定められたガイドライン(日本顎間接学会「顎関節症の診断基準」「顎関節症の診断決定樹」)に則って診断することができます。
患者さんへの聞き取り、あごの痛みや動きの検査、レントゲン撮影、CT撮影、MRI撮影の検査結果をもとに臨床診断あるいは確定診断がなされます。
なお、「口が開かない」「あごを動かすと音がする」という病態について確定診断を得るためには、MRI撮影が必須とされています。

Q 顎関節症になったらどうしますか?

 まずは、かかりつけの歯科医師にご相談ください。顎関節症はかみ合わせと関連がある場合もあり、整形外科では対応できない場合があります。
ネットで日本顎関節学会の認定医、大学病院の口腔外科や顎関節治療部などを調べ、かかりつけの歯科医師の紹介で受診されるものよいでしょう。

Q 顎関節の痛みはストレスによっても起こりますか?

 顎関節症に限らず痛み(疼痛)には、身体的な障害だけでなく心理的・社会的な因子も大きく関与します。このため、心理テストを行うこともあります。
心因性の顎関節症については、顎関節専門病院への受診が必要となることがありますが、かかりつけの歯科医師にご相談いただければ紹介してもらえます。

あごが痛い、口が開かない、あごを動かすと音がするといった不快な症状に悩んでおられる方々は、ぜひ一度、歯科医師にご相談ください。

参考文献

日本顎関節学会 顎関節症の治療指針2020
https://kokuhoken.net/jstmj/

神奈川県歯科医師会・川崎市歯科医師会会員
かわさきノエル矯正歯科 松原 望

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