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親知らずを抜いたら、ひどく腫れた! 親知らずのトラブル どうするの? どうなるの?

親知らず

そもそもどうして親知らずが生えてくるの?

「親知らずがむし歯になって泣きたいほど痛い」「親知らずを抜いたら、口が開きにくくなるほど頬っぺたが腫れてしまった」――そんなとき、どうすればよいでしょうか。
また、こうしたトラブルを未然に防ぐ方法はあるのでしょうか。
まずは、そもそも親知らずがどうしてこうしたトラブルに見まわれやすいのか、ご説明することにしましょう。

祖先の食生活に関係します

 わたしたちの祖先は、食糧を求めて各地を移住していた狩猟採集時代、穀物や木の実、動物の生肉など、現代人よりはるかに硬いものを食べていました。
 硬いものを十分に噛みくだくため、奥歯の本数も多く、それを支える顎の骨も大きく発達していたのです。

 つまり、わたしたちの祖先は「第3の大臼歯」と呼ばれる親知らずが、ほかの歯と同じように普通に生えており、硬いものを噛みくだくのに役立っていました。

 その後、農耕時代に移って一ヵ所に定住し、お米を炊いたり、食材を煮たり焼いたりして食べるようになると、硬いものを食べる機会も減っていきます。

 こうした進化の過程で、わたしたち人類は親知らずを必要としなくなり、顎も小さくなりました。ところが、困ったことに親知らずは、遺伝子の指令により以前と同じように生えてこようとします。

 特に、米食中心の食生活を送ってきた日本人は顎が小さく、親知らずが生えるためのスペースも足りないことが多いのです。
 そのため、親知らずが普通に生えず、さまざまなトラブルの原因になることが少なくありません。

親知らずは炎症の原因となる細菌の温床

親知らず

 親知らずの最大の問題は、ほかの歯に比べて生えかたが普通でなく、しかも口のいちばん奥に生えているため汚れやすいうえに歯ブラシも届きにくいことです。
 こうしたことから、むし歯や歯のまわりの炎症(歯周炎)の原因となる細菌の温床となり、腫れや痛みなどのトラブルに見まわれやすくなります。

親知らずを原因とする歯周炎は「智歯周囲炎」と呼ばれ、通常のむし歯による歯周炎に比べ、炎症の程度が強いのが特徴です。
このため、痛みがひどく、頬まで腫れた、口が開きにくいといった重い症状を引き起こしやすくなります。
こうした症状を引き起こす炎症そのものは、抗菌薬の投与や消毒によって一時的にはおさまります。しかし、炎症の原因となる親知らずが存在する限り、再発を繰り返すことになりがちです。

私たち現代人にとって、親知らずは、もはや歯の本来の目的である食物を噛みくだき、のみこみやすくするために役立っているとはいえません。
歯周囲炎による重い症状の発症や再発を防ぐため、親知らずは基本的には抜歯をするのが望ましい選択ということになります。

治療のしやすさ、からだへの負担が治療後の症状に影響

親知らずを抜歯する場合、治療のしやすさや治療に要する時間、からだへの負担は、親知らずのかたちや生えかたによって変わってきます。
 親知らずを抜いたあとに起こる症状の程度にも、治療のしやすさやからだへの負担の大きさが影響します。

たとえば、親知らずを抜くために歯ぐきの一部を切開したり、顎の骨を削ったりする必要があるときは、通常のむし歯を抜いたときに比べ、治療後の痛みや腫れなどの症状も重くなる可能性があります。

◆親知らずのかたちや生えかたと治療のしやすさ

  • 親知らずが大きいほど抜歯しにくく、からだへの負担も大きい
  • 親知らずの歯の根のかたちが複雑になるほど抜歯しにくく、からだへの負担も大きい
  • 親知らずの根が深いほど抜歯しにくく、からだへの負担も大きい
  • 親知らずが倒れて生えていたり、歯の根が真横になっていたりすると、抜歯しにくく、からだへの負担も大きい

歯

親知らずを簡単に、短時間で抜歯できるほど、からだへの負担が軽く小さく、治療後の痛みや腫れも軽くなります。
 逆に抜歯がむずかしく、治療に時間がかかれば、それだけからだへの負担が大きくなり、炎症が強くなって治療後の痛みや腫れも重くなります。

 また、親知らずの周囲に炎症が起こると、頬の内側にある口を開けるための筋肉にも影響がおよび、口を開けにくくなることもあるのです。

痛みや腫れなどの原因となる炎症の程度は、感染症などの病気やストレス、栄養不良、体質などによって、全身状態や免疫力、抵抗力に問題があるときにも強くなります。

 強い症状があるときは抗菌薬を服用し、バランスのよい食事と休養に努める

親知らずがむし歯になったり、親知らずを抜いたりしたあとに強い腫れや痛みがあったりするのは、とても辛いものです。
こうした症状に見まわれた患者さんが、一刻も早く親知らずを抜歯し、苦痛から解放されたいお気持ちはとてもよくわかります。

 しかし、親知らずの周囲の腫れて痛い部分には炎症の原因となる細菌が数多く繁殖しており、たくさんの血液がかよって充血しているのです。
このような状態のときに親知らずを抜歯すると、ひどい出血を起こしかねませんし、止血も容易ではありません。
また、細菌を周囲の歯ぐきや頬の内側などに広げてしまい、よけいに炎症がひどくなって痛みや腫れが強くなるおそれがあるのです。

こうしたときに大切なことは、歯医者さんに処方された抗菌薬を指示通りに服用したり、お口のなかを消毒したりして、炎症の原因となる細菌を排除することです。

そのうえで、あまり噛まなくてもよい、バランスのよい食事を工夫して摂り、食後はお口のなかをできるだけ清潔にするようにしましょう。
同時に栄養状態をよくし、十分な睡眠をとることは、全身状態を改善して細菌と闘うための免疫力、抵抗力を高めるためにも大切な心がけといえます。

親知らずを安全かつ効果的に抜歯するベストタイミングは、強い炎症がおさまったときであることを、ぜひご理解ください。

歯医者さんからのメッセージ

歯医者

親知らずがむし歯になってひどく痛い、親知らずを抜いたら口が開きにくくなるほど頬が腫れてしまった――日本人は、誰しもそんな親知らずのトラブルに見まわれがち。
でも、安心してください。
親知らずによるひどい痛みや腫れは、患者さんの全身状態などにより日数は異なりますが、必ず治ります。

神奈川県歯科医師会・横浜市歯科医師会 会員 青柳浩司

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