まったく歯を磨かないのに、むし歯にならない人がいるのはなぜ??

「うちの主人、ほとんど歯を磨いていないのにむし歯にならないの。なぜかしら?」
日ごろから一生懸命に歯磨きしているのにむし歯に悩まされているという皆さんにしてみれば、なんだか理不尽に感じられるのもムリはありません。
そもそもむし歯になるのは、なぜでしょうか。

いまから半世紀ほど前の1969年、米国のカイスという学者が「むし歯(う蝕)になるのは3つの要素が重なったときである」という理論を提唱しました(図)。
この理論は、「カイスの輪」と呼ばれます。
歯科医の多くが歯学生のころに習うもので、私自身、初めて聞いたときは「ほほう」と思ったものです。

3つの要素とは、
1)歯が生えている
2)糖分のある食べものをとる
3)むし歯の原因菌がいる  
 ということです。
むし歯になるのはこの3つの要素が重なったときであり、逆にいえば3つの要素が重ならなければむし歯にならないということです。

糖分のあるものを控え、適切なケアでむし歯の原因菌を除去!

では、「カイスの輪」を構成する1つひとつの要素をみていきましょう。

1) 歯が生えている
歯のないところにむし歯はできませんので、これは当然のことですが、歯の質が弱い人はよりむし歯になりやすいといえます。

2) 糖分のある食べものをとる
代表的なものは、「砂糖」「でんぷん」「果糖」。
食べる量もそうですが、それ以上に気をつけたいのは、こうした食べものを摂取する時間と回数です。
ダラダラ食べ続けたり、キャンデーや甘い飲みものをよく口したりする人は、こうした食べものに含まれる酸により歯が溶け、再石灰化が十分にできないため、むし歯のリスクが高まります。

3) むし歯の原因菌がいる
むし歯の原因となる菌には、ミュータンス菌など10種類ほどあります。こうした菌を抑えるはたらきをするのは「だ液」です。だ液の抗菌力が強く、十分に分泌される方はむし歯になりにくいのです。

まったく歯を磨かないのにむし歯にならない人は、上記の2)と3)の両方、またはどちらかの要素が欠けているからだと考えられます。
最近では、この3つの要素に時間が加わり、「カイスの4つの輪」とも呼ばれています。

予防に力を入れている歯科医院で検査を受けましょう

むし歯は上記の3つの要素が重なったときに起こりますので、日ごろから糖分のある食べもの長時間口にせず、正しい歯磨きやセルフケアに努めるなど、むし歯予防を心がけることが大切です。
とはいえ、食習慣や歯の質、菌の種類や量などにより口のなかの環境は1人ひとり異なります。このため、むし歯予防の効果も人それぞれであり、誰かに効果があってもあなたには効果が薄いということもあります。

最近、むし歯にならないための「予防」に力を入れる歯科医院も増えています。
まずは、信頼できる歯科医院で検査を受けましょう。
検査内容は歯科医院によって異なりますが、歯垢(プラーク)検査やX線検査、だ液検査などを行ってむし歯予防のための対策を立てます。また、毎日の歯磨きやセルフケアでは除去しきれない菌への対策も行うことができます。

お口は健康の入口です。人生100年時代を迎え、健康寿命をのばすための一歩を踏み出しましょう。

神奈川県歯科医師会・海老名市歯科医師会 会員
 神奈川県海老名市 ベル歯科医院 鈴木 彰

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