歯ぎしりを防ぐ!~歯科マウスピースの意外な効用~

無意識のうちに上下の歯を強い力でこすり合わせてしまう歯ぎしり。睡眠中に起こることが多いため、自分自身では気づきにくく、治すことも難しい癖の1つです。
とはいえ、何も対策をとらずに放っておくと、ご家族の安眠を妨げるだけでなく、ご本人の歯やあごにさまざまな影響をおよぼす可能性があります。
今回は、歯ぎしりを防ぐための「歯科マウスピース」についてお話しします。

歯ぎしりを放っておくと歯やあごに症状が出ることも

歯ぎしりは周囲に聞こえるほど大きな音を立てることが多く、寝室をともにするご家族の安眠を妨げることも少なくありません(図1)。
それだけではなく、放置すればご本人にもさまざまな影響を及ぼす可能性があります。
たとえば、歯の表面がすり減ったり、割れたり、欠けたりするほか、顎関節症や筋肉痛などの症状を引き起こしたりすることもあるのです。

歯ぎしりを起こす原因やメカニズムは詳しくわかっておらず、ストレスや不安、睡眠障害などによって起こると考えられています。
このため、根本的な治療は容易とはいえませんが、歯科医院でつくってもらったマウスピース(歯科マウスピース)を就寝中に装着することで、歯ぎしりによる悪影響や症状を防ぐことができます。

    図1 歯ぎしりを放っておくと歯やあごの症状にも

オーダーメイドの歯科マウスピースで歯ぎしりを防止

歯科マウスピースは、歯科医院で患者さんの歯の型取りをしてつくられ、歯にかぶせて使うプラスチック製のマウスピースの総称です(図2)。
歯ぎしりや食いしばりの予防のほか、格闘技や激しいスポーツによる衝撃からの保護、歯列矯正、ホワイトニングなど、さまざまな用途で使われます。

歯ぎしりに対しては、以下のようなメリットが期待できます。

1.歯ぎしりの衝撃や摩擦をマウスピースが吸収し、歯や顎にかかる負担を軽減します。
2.歯ぎしりの音を減らし、睡眠の質を向上させます。
3.顎関節症や咬合不正などの原因となる咬み合わせのバランスを調整します。
4.知覚過敏、むし歯、歯周病の予防にも効果的です。

このように、歯科マウスピースは歯ぎしりに対して多くのメリットが期待できます。しかし、あくまで補助的な治療法であり、根本的な原因を解決するものではありません。
したがって、装用する場合は定期的に歯科医師に相談し、適切なメンテナンスや交換を行う必要があります。
また、歯ぎしりの原因となるストレスや不安を減らすため、ライフスタイルや睡眠環境を見直し、心身の疲れを癒すよう努めることも大切です。

    歯科マウスピースはオーダーメイドのため装用時の違和感が少ない

■参考文献

「噛み癖・食いしばりに注意! 3つのリスクから歯を守るナイトガード」鈴木尚著、医歯薬出版刊
「徹底解説! エビデンスに基づいた睡眠時ブラキシズムの診断・治療」鈴木善貴著、 医歯薬出版刊
「臨床機能咬合学:咬合の7要素によるオクルージョンの臨床」小出馨編、医歯薬出版刊

神奈川県歯科医師会・厚木歯科医師会会員
横田歯科医院 横田剛

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

もくじ