口臭のはなし
- 執筆者
- 神奈川県歯科医師会・鎌倉市歯科医師会 原 宣道
-
2026/02/20 - 歯とお口の基礎知識
自分では気づきにくい口臭、何が原因でどう治療する!?
清潔感を重視する現代社会において、「息さわやか」であることは周囲の人々と良好なコミュニケーションをとる上で大切な要素です。人柄も容姿も申し分のない人に、もしひどい口臭があったとしたら、魅力も半減しかねません。
日常生活のなかでも、会話の途中に相手の口臭が気になってしかたがないというご経験はありませんか。
たとえ親しい間柄であっても人の口臭を指摘することは心苦しいものですが、それは相手にとっても同じこと。あなたの口臭は大丈夫でしょうか。
口臭の主な原因は口腔内に
誰にでも、お口のニオイはあるものです。たとえば、起床時、空腹時、緊張時など、唾液の分泌量が減少して口腔内が乾いた状態では口臭が生じることがあります。
唾液には抗菌作用や自浄作用がありますので、お口のなかが乾いて細菌が増えると一時的にニオイが生じます。多くの場合、リラックスし、食事をとればおさまる程度の生理的な口臭であり、気にする必要はありません。
問題はニオイの質と強さです。周囲の人が気になるほどのひどい口臭を認める人の多くは、口腔内に原因があると考えてよいでしょう。
重症の糖尿病や肝臓病など全身疾患の兆候として口臭が生ずることもありますが、症状が口臭だけということはまずありません。よく胃が悪い人には口臭があるといわれますが、実は稀なことなのです。
舌表面のケアが大切
口臭の主な原因物質は、揮発性硫黄化合物(VSC)と呼ばれる硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドといった、口腔内から発するガスです。そのなかでも、腐った卵のようなニオイを発する硫化水素、生臭い、腐ったタマネギのようなニオイを発するメチルメルカプタンが約90%を占めます。
私たちの口腔内には、通常約数百種類、数にすると数十億の細菌が常在しています。そのなかの嫌気性菌とよばれる種類の細菌が、舌苔(ぜったい)や歯垢、食物のカス(食物残渣)などに含まれる含硫アミノ酸を分解・腐敗させることでVSCを産生します。
舌苔は、新陳代謝によりはがれ落ちた口腔粘膜、歯周病により排出された血液成分、食物残渣などの老廃物にさまざまな細菌が付着して舌表面にたまるもので、口臭の一番の原因と考えられます。
このため、口臭を予防するには、まず舌表面の清掃を最優先すべきです。
歯科医院で原因に即した治療を
そのほか、歯周病により腫れた歯肉、放置されたむし歯、ぴったり合っていない義歯(入れ歯)や冠(クラウン)、不正な親知らず、加齢や口呼吸による口腔乾燥なども、口臭の間接的な原因となります。
ご自身のお口のニオイが気になるという方は、歯科医院で口腔内にこのような口臭の原因がないかどうかをよく調べてもらうとよいでしょう。何らかの原因があれば、それに対する根本的な治療と改善を行う必要があります。
ガムを噛むことは、唾液の流れをよくし、口臭を軽くするという作用はありますが、ブレスケア用タブレットやうがい薬など香料の強いものを口に含んで口臭を隠しても、その場かぎりのことで根本的な解決にはなりません。
神経質になりすぎるのも問題
一方、近年では清潔志向が行き過ぎたせいか、実際には問題となるような口臭はないにもかかわらず「自分の息がくさい」と思い込む、いわば心因性の口臭に悩まれる方が増えています。
ニオイに対する感覚には個人差もあり、感情にも影響を受けますが、口臭に対してあまり神経質になりすぎるのも問題です。
ご自身の口臭が気になって人前に出るのが怖いというような場合には、大学病院の口臭外来などで測定機器により口臭の程度を客観的に評価し、口臭に対する恐怖心を克服することも必要かもしれません。
詳しくは、歯科医にご相談ください。
原歯科医院院長 鎌倉市歯科医師会 原 宣道
- 執筆者情報
-
原 宣道神奈川県歯科医師会・鎌倉市歯科医師会
http://www.haradental.jp/



