
転倒や遊具での衝突、自転車での事故などにより、子どもが歯をぶつけることは決して珍しくありません。突然の出来事に、どう対応すればよいか分からず戸惑う保護者の方も多いでしょう。歯の外傷は、初期対応によってその後の経過が大きく左右されることがあります。いざというときに落ち着いて行動できるよう、基本的な対処法を知っておきましょう。
■口の中の状態を確認する
まずは落ち着いて、口の中を確認しましょう。出血がある場合は、清潔なガーゼやハンカチで患部を軽く押さえて止血します。口の中に土や砂などが入っている場合は、強くこすらず、軽く口をすすぐ程度にとどめましょう。そして、できるだけ早く歯科医療機関を受診することが重要になります。
■歯の状態に合わせて応急処置をする
歯や周囲の組織への影響を抑えるため、歯の状態に応じた対処法を知っておきましょう。
・歯が欠けた場合
歯の破片があれば捨てずに歯科医院へ持参しましょう。破片を元の歯に接着できることがあります。破片が見つからない場合でも、歯科用の材料を使って歯の形を整える治療が行われます。
・歯がぐらついている場合
ぐらぐらしている歯は無理に触ったり、元の位置へ押し戻そうとしたりせず、そのままの状態で受診しましょう。歯科医院では、ワイヤーなどで歯を固定し、1〜3か月ほど経過をみていくことが一般的です。
・永久歯が抜けた場合
永久歯が抜けてから時間が経つほど元に戻せる可能性は低くなるため、特に迅速な対応が必要です。抜けた歯は「歯の頭部分(歯冠)」を持ち、「根の部分(歯根)」には触れないようにします。抜けた歯に汚れが付いている場合はこすらず、流水で軽く洗い流します。
そして、最も大切なのは、歯を乾燥させないことです。
■抜けた歯は保存液か牛乳に入れる

抜けた歯は、歯の保存液があれば、その中に入れて持参することが望ましいです。学校では、保健室などに用意されていることがありますが、ない場合は牛乳でも代用できます。保存液も牛乳もない場合は、頬の内側や舌の下に入れて保存する方法もあります。ただし、小さな子どもでは歯を誤って飲み込む危険があるため、避けたほうが安全です。
歯科医院では、歯や周囲の組織の状態がよければ元の位置に戻す「再植」という処置を行い、ワイヤーなどで固定します。
なお、乳歯が抜けた場合は、再植できない場合もあります。見た目だけでは乳歯か永久歯かを判断しにくいこともあるため、抜けた歯を持って歯科医師の診察を受けましょう。
■見た目に異常がなくても経過観察が必要
見た目が落ち着いても、かみ合わせや歯の状態、将来生えてくる永久歯への影響を確認するため、一定期間の経過観察が必要になります。
「大丈夫そうにみえるから様子をみてもいいのでは」と迷うこともあるかもしれませんが、見た目に大きな変化がなくても、歯の内部や周囲の組織に影響が出ている場合があります。ご家庭で判断するのは難しいため、迷ったときは早めに歯科医師へ相談すると安心です。
歯の外傷では、「乾燥させないこと」「できるだけ早く受診すること」が重要なポイントです。正しい対応を知っておくことが、大切なお子さんの歯を守ることにつながります。
鎌倉市歯科医師会会員 ドクタービーバー小児歯科・矯正歯科 吉田章太
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吉田章太神奈川県歯科医師会・鎌倉市歯科医師会
ドクタービーバー小児歯科・矯正歯科


