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歯の衛生に見る“お国事情” 「お菓子の日を楽しみに待つフィンランドの子供たち」

歯の衛生に見る“お国事情” 「お菓子の日を楽しみに待つフィンランドの子供たち」

6月4日はむし歯予防デーとして古くから知られているが、これは日本だけで、統一ドイツの歯の日は9月25日で「健康は歯から」がスローガン。米国では児童の歯の衛生週間が続けられてきたが、最近になって「健康なスマイルは年齢で変わらない」のスローガンで、年配者に歯の健康の価値を教えるように変わってきていて5月13日から19日まで。

シンガポールでは良い歯のコンクールがあり、韓国にはむし歯予防デーはないが健康な歯を持つ人の表彰式がある。

世界広しといえども歯の健康の大切さはいずこも同じこと。今回は”歯の衛生、お国事情”と銘打って各国の風習や活動の一部を紹介することとする。

検診よりフッ素で洗口~イタリア~

イタリアでは州によって異なるがミラノでは検診は小学校で1回、中学校で1回、それでも日本と同じくらいのむし歯の状態なのは、フッ素に原因があります。

用務員室のような場所で看護婦がフッ素のうがいを一年くらいかけて指導、あとは錠剤を渡して1日1回の洗口を自分でやっていて、決められた歯科校医はいません。

高い評価の予防活動~イギリス~

イギリスの子どもが日本よりむし歯の少ない理由は、デンタルセルヘフケアがしっかりしていることで、毎日歯磨きする子どもがほとんど、しかも小さいときからフッ素入りの歯磨剤を使います。

そのうえ日本の親は子どもに甘く、食生活もルーズになりがちですが、イギリスでは昔から厳しいしつけの伝統が受けつがれています。飲料水のフッ素化とフッ素配合歯磨剤の使用がむし歯予防の2本柱とされるとともに、保健指導や予防活動が我が国と違って非常に高い評価を得ていることが大きな理由で、日本も経済力だけでなく歯科保健水準でも先進国の仲間入りをする日が待たれています。

歯肉傷める悪習慣~ミャンマー~

ミャンマーには歯を黒く染める習慣があり、日本のお歯黒と同じようにむし歯を予防すると思われていましたが、約30年前から行われていません。

しかし、びんろうじゅ(消石灰の液を塗ったびんろうじゅの葉の中に小さな粒のびんろうじゅの種を入れて包む)をかむ習慣はごく当たり前のことで、これは唾液を分泌させる軽度の刺激作用をもつ嗜好品であり、これによって口の中が赤褐色に染められます。歯の磨耗や粘膜への刺激により歯肉の破壊へつながることになり、口腔の健康を阻害する原因ともされています。

検診前提の保険診療~オランダ~

オランダでは国民のすべてに年2回の定期検診が義務付けられ、これには健康保険証が使えますが、このチェックを受けていない場合はむし歯になっても保険で診療を受ける権利がなくなることになります。

西ドイツでは市役所自体が”むし歯予防に生の人参を食べましょう”などという主旨のポスターを掲示しています。

フィンランドのヘルシンキでは「お菓子の日」を決めて、買って食べてもよい日を作り、子どもたちは次のお菓子の日には何を食べようかと心待ちに、楽しみにして待っています。ユーゴスラビアなどの共産圏では公的機関、各小学校に歯科医がいて治療椅子があり治療まで行われています。

健康な歯を表彰国~韓国~

お隣の韓国では学校歯科検診は身体検査の一部として年に一回行われますが、学校歯科医は特にいません。

また、むし歯予防デーは特にありませんが、健康な歯を持っている人の表彰式などはあります。歯科に関する保険診療は3年前から国民皆保険のもとに行われていますが、簡単な歯科治療やレントゲン撮影、歯石除去などで、各種の義歯、矯正などは保険外診療になるそうです。

サトウキビで歯磨き~フィージー~

西インド諸島、サモア、フィジーではサトウキビが歯磨きに使われ、成分のフィチン酸がむし歯をつくる酸を中和するのではないかといわれますが、一方でむし歯が増えるという報告もあります。

また、西アフリカで歯ブラシに使われているツヅラフジ科の植物は、アルカロイド(ベルベリン)を含むいくつもの抗生物質が含まれていることがわかっています。かつてアメリカの人々が歯ブラシに使い、現在でも南部の農民が使用しているモミジバフウ(マンサク科)は、そのゴム質を、農村の黒人達は歯が白くなると信じて噛んでいました。モミジバフウの枝や皮の抽出物からは、むし歯や鷲口瘡・皮ふ病を起こす細菌やイースト菌に効く広域スペクトルの抗菌作用があることがわかりました。