[かむカム20号/2000年09月]より 歯のまめ知識かむカム歯の話

歯ならび・かみ合わせの悩みはどうすればよいのでしょう?

あなた自身やあなたのお子さんの「歯ならび」や「かみ合わせ」が気になったことはありませんか?最近、歯ならびやかみ合わせについて、世の中の関心が高まっていますし、近年は学校の歯科健診で歯ならび・かみ合わせについても診査するようになっています。歯ならび・かみ合わせが良くない」とはどんな状態を言うのでしょう?また、歯の健康や全身の健康にどんな影響があるのでしょうか?少し考えてみましょう。

歯ならび・かみ合わせに問題がある例

歯ならびやかみ合わせに問題があることを「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼びます。不正咬合にはいくつかのタイプがあります。代表的なものをいくつかあげてみます。
  1. 上の前歯が前方に突き出している、いわゆる「出っ歯」の状態。
  2. いわゆる「受けロ」。ロを閉じたとき、下の歯が上の歯より外側にある。
  3. でこぼこの歯ならびや「八重あご歯」。歯の大きさに対して顎が小さく、スペースが不足している。
  4. 奥歯はかみ合っているのに上下の前歯がかみ合わない。そのため前歯で食物がかみ切れない。
  5. 前歯の間に隙間が空いている。
  6. 上下の歯のかみ合わせが、右か左にずれている。

実際にはこれらのうちのいくつかが複合していることが多く、本人や家族などが見てはっきりわかるものもあれば、一見してはわかりにくい不正咬合もあります。また、永久歯がはえそろっていない時期の小児では、顎の骨の中で永久歯の芽が育っていますが、この永久歯の芽の数の過不足や位置の異常がX線撮影などの結果わかることがあります。この場合のように、今は問題がないように見えても将来の不正咬合が予想されるケースもあります。

不正咬合が望ましくない理由

では、歯ならび・かみ合わせに問題があると、どんな望ましくないことがあるのでしょうか?実は、不正咬合によって起こる不都合は、単に見た目の印象があまり良くないというだけではありません。不正咬合が原因で起こる問題は、口の中のことだけにとどまらず、全身の健康にも関係が深いのです。不正咬合があると起きる不都合な点をいくつか記してみましょう。
  1. むし歯や歯周病にかかりやすくなる。

    歯が重なっている部分なとは唾液の流れが悪く、歯ブラシも届きにくいために歯垢や歯石が溜まり、むし歯・歯周病になりやすい条件となってしまいます。
  2. 発音がうまくできない。

    不正咬合の種類によっては、サ行やタ行の発音が不明確になりやすく、外国語の習得や、発音が重視される職種につこうとするときなとに不利になることも考えられます。
  3. 顎の関節に負担がかかったり、顔の成長にアンバランスが生じる。

    口を開けたときに耳のそばにある顎の関節で音がしたり、口が大きく開けられない、関節付近に痛みがあるなとの症状が出てくる「顎関節症(がくかんせつしょう)」という病気があります。不正咬合はその主な原因の1つであると考えられています。また、不正咬合によって額が望ましくない方向へ成長することがあり、その結果顎の前後の位置や左右のバランス、顔の形にも影響が及ぶことがあります。
  4. 胃腸への負担が大きくなる。

    不正咬合があると、食物をじゅうぶんにかむことができす、唾液の分泌も良くないために胃腸への負担が大きくなってしまい、健康面でのトラブルにもつながります。
  5. 良くない姿勢や、頭痛、肩こりの原因になる。

    かみ合わせのアンバランスは、傾いた姿勢の原因となることもあり、頭痛や肩こりにも関連することがあります。
  6. 精神面への影響も。

    口元に自信がないと、大きく口を開けて笑うのに抵抗があったり、消極的になったりしがちで、性格にも影響を及ぼすことさえあります。

このように不正咬合によってもたらされる不都合は、直接的なもの、間接的なものを含めるといろいろとあることがおわかり頂けたと思います。

不正咬合はなぜ起こるのでしょう?

不正咬合は、遺伝的な要因と、環境的な要因が複雑に関与して起こると考えられています。骨格に原因がある不正咬合は遺伝的な要因が大きいと考えられます。その一方、不正咬合の中には後天的な要因、たとえぱ乳歯のむし歯を放置した結果、永久歯がはえるスペースに不足が生じたり、指しゃぶりや爪かみ、頬づえなどの習癖によって誘発されるものもあります。

不正咬合はどうしたらなおせるのでしょう?

歯ならびやかみ合わせに対する治療を「矯正(きょうせい)治療」と言います。矯正を専門としている歯科医師も数多くいます。矯正を開始する年齢や治療期間、方法等はその人の状況に応じて様々です。症状に合わせた最も適切な時期、成長を利用できる時期に治療を受けるのが理想ではあるのですが、近年は成人に対する矯正治療もさかんにおこなわれるようになりました。

まずは「かかりつけ歯科医」に相談してみましょう。

さて、あなた自身やあなたのお子さんの歯ならび・かみ合わせは、果たしてどうなのでしょう?
前述のように、一見してわかる不正咬合もありますし、専門家でなければちょっとわかりにくいものもあります。気になる方は、まずは日ごろ通院している「かかりつけ歯科医」に相談してみたらいかがでしょう。そして必要があれば専門医を紹介してもらうと良いと思います。矯正治療は、それほど簡単なものではありません。しかし、歯ならびやかみ合わせの悩みを矯正治療によって解決することができれば、歯や口の健康、さらには全身の健康を生涯にわたって維持することにもつながるのですから、積極的に取り組んでみる価値はあると言えましょう。