お歯黒をよくつけるには

 お歯黒がつきにくい時は、「かね下(弱い酸
で、かねはげぬ薬とも呼ばれた)」で歯の表
面を処理し、あらくした。
 しかし、“「かね下」は歯の質を傷める”と、
明治初期には高山紀斎などの歯科医が非難
した。
 現在、接着性の白いプラスチックのつめ物
や矯正装置を歯の表面につける時に、歯の
表面を処理してつける原理が、すでに江戸
時代におこなわれていた。

 


  


即席のお歯黒”はやがね”


 お歯黒の溶液の作り方は、口伝えなど女
性の秘伝であった。結婚した女性は、初め
は近所の七軒からお歯黒の溶液をもらい、
いろいろ工夫し、かまどのそばに置いて
発酵させて作った。
 江戸時代後期から明治にかけては、即
席のお歯黒「はやがね」が、岡山県備前
市の香登など各地で作られた。「はやがね
」は高価であったため、庶民は、なかなか
使えなかったという。
 写真は、「はやがね」の“ぬれがらす”を
東京で引き売りする風景(明治期)と「は
やがね」の袋

 
虫歯予防にお歯黒の原理

 昔からお歯黒をつけていた婦人は、むし
歯にならないことが知られていた。お歯黒
は、歯の表面のエナメル質を強化してむし
歯を防いだ。
 大阪大学の山賀禮一教授は、お歯黒の
むし歯予防や知覚過敏を鎮める効果につ
いて研究し、薬剤やセメントを開発し、現
在でも使われている。

 

                                  
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