『噛みにくい・飲み込みにくい』は歯科医院で相談できます

執筆者
神奈川県歯科医師会・相模原市歯科医師会会員 田中 雄一郎

お口、弱っていませんか?

お口というとまず真っ先に歯を思い浮かべます。むし歯や歯周病と自分は大丈夫かな。
心配になり定期健診のいく人は増えています。
8020運動は、「80歳までに20本の歯を残そう」という目的の運動です。
これは、かなり達成されているようで、年々増加して2人に1人が達成しています。
みなさん、歯をしっかり残すことができているのですね。また歯を失っても入れ歯やインプラントで補い、よく噛める口を維持されています。
ところで、歯が残っていることだけが、健全な食生活やそこから始まる日常生活を送れる条件なのでしょうか?
じつは、歯が残っていることだけが健全な食生活を営む条件ではありません。
「口腔機能の低下」「フレイル」「オーラルフレイル」。こうした言葉を聞いたことはないでしょうか?こうしたことをひと言で言うと「お口が弱る」ということです。

 

口が弱ると身体も弱る⁉︎

年齢を重ねるにつれて(多くの人は40歳ぐらいから)、体の機能が徐々に衰えるのと同様に、口の機能も徐々に衰えていきます。それに気づかずにいると、やがては何でも噛んで食べることが難しくなってしまうのです。すると、やわらかい食べ物ばかり食べ、炭水化物中心の食生活になりまた肉や野菜、果実などを避けがちになり栄養バランスが大きく崩れます。体に予備力があればよいのですが、高齢になると深刻な問題です。低栄養になり筋肉質の減少、やがて本格的な「フレイル(虚弱)」を招きます。このまま低栄養が続け自立した生活が出来なくなり、要介護や寝たきりにまで進んでしまうのです。
「フレイル(虚弱)」は、足腰の衰えからと思いがちですが、その前段階に足腰の筋肉の減少は低栄養からという原因があり、その低栄養は口の機能により大きく影響されていたのです。
逆に口の機能が良い人は、何でも食べられバランスの摂れた食生活を送り、しっかり運動することで健康寿命が長いという調査もあります。
「身体の健康はお口から」昔からよく聞く言葉ですね。

 

口の弱り見逃さなで!

食べるときの口の機能とは、単純にいうと、十分な歯があって、よく噛めること。舌がなめらかに動き、唾液もたっぷり出て、噛み砕いた食べ物を「食塊」という塊にまとめられること。飲み込もうとすると、瞬時に気道に蓋がされて、食塊をスムーズに食道に送り込めること。
食べるには、このような口の機能がしっかりと調和しながら働く必要があります。
ところが、年齢を重ねると口の機能も衰えます。放置すると身体にも影響がでます。
したがって、まずは口の機能低下の兆候に、いち早く気づくことが大事です。
主な兆候には、以下のようなものがあります。

・口が渇く
・むせる
・食べこぼす
・滑舌が悪くなった
・硬いものが噛めない
・以前よりも食事に時間がかかるようになった

一つでも当てはまることがあれば、口の機能が衰えかけている証拠です。
「オーラルフレイル(口の虚弱)」という状態です。
オーラルフレイルを放っておくと、噛んで食べることが難しくなり、栄養バランスが崩れたり低栄養になったりして、「フレイル(虚弱)」を招いてしまいます。
これを食い止めるには、兆候に気づいた段階で、手を打つことが大事です。

 

かかりつけ歯科医院に相談しましょう!

兆候がある人は、歯科医院で相談してみてください。
口腔機能の検査にて口のどの機能が衰えきたか、教えてもらえるでしょう。}
また、適切な訓練も指導されると思います。
兆候がない人も定期健診にてむし歯チェック・歯周病チェック・口腔機能のチェックも受け歯と口腔機能ともに維持していきたいですね。

 

執筆者情報
田中 雄一郎
神奈川県歯科医師会・相模原市歯科医師会会員
フレンズデンタルオフィス

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