歯と口の健康 正しいブラッシングと歯間清掃具の使い方!

3月30日(月)放送のテレビ神奈川「猫のひたいほどワイド」内、「健康!歯っピーライフ」のコーナーの紹介です。

このコーナーは、歯やお口の健康に関する情報をMC久保田悠来さんと神奈川県歯科医師会広報川原委員が伝える月に1回のコーナーです。

3月のテーマは「歯と口の健康 正しいブラッシングと歯間清掃具の使い方」でした。

なぜ食後のブラッシング(歯みがき)をするのか

みなさんは、食事をしたらブラッシングをすると思います。その目的は何でしょうか?
人と対面で話しをする時に、口臭がすると相手に不快な思いをさせてしまいます。口臭予防のエチケットのためがブラッシングの目的の一つです。

もう一つ重要な目的は歯垢を取り除くことです。歯垢は食べかすではありません。細菌の塊です。
歯垢1mg中には10億個の細菌が存在します。細菌には様々な種類があります。むし歯の原因や歯周病の原因となるような私たちに取って害をもたらす細菌もいます。細菌たちは単独で存在すると、歯の表面から剥がれ落ちてしまうので、互いに密集し合いネバネバのバイオフィルムというものを形成します。
バイオフィルムとは、台所や洗面台につくネバネバのようなものです。そのネバネバは、水で洗い流すだけでは、落とすことができません。そのため、歯ブラシでブラッシングを行い、バイオフィルムである歯垢と取ることが重要となります。歯ブラシでの歯垢の除去が、歯と口の健康のための基本となります。

正しいブラッシング方法について

 正しいブラッシングのためには、正しい歯ブラシの持ち方をすることが大切です。鉛筆が正しく持てる年齢になったら、歯ブラシは鉛筆を持つように軽く持ちます。ぐーで握ってしまうと歯ブラシを細かく動かすことがしにくく、歯垢の取り残しが増えてしまいます。ポイントは歯を1本1本磨くことです。歯には咬み合わせの面と、頬側の面と、舌側の面があるので、全ての面を磨く様にします。

正しい持ち方。鉛筆を持つ様に。



ぐーの持ち方。力が入りすぎてしまう。

 歯垢が残りやすいのは、歯と歯ぐきに接しているところです。ここは、むし歯がよくできるところでもあります。その他、むし歯のできやすいところは歯の咬む面の溝と歯と歯の間です。
歯と歯ぐきの境目と合わせて、むし歯の3大好発部位と呼ばれます。歯と歯ぐきの境目は、歯ブラシの角度を斜め45度にすると、歯ブラシの毛先が境目に届きやすくなります。

下の歯の舌側は歯垢が残りやすい。歯ブラシの角度は斜め45度。

デンタルフロスや歯間ブラシも使いましょう

 正しくブラッシングをしても、歯垢が取りきれない箇所があります。むし歯の3大好発部位でもある、歯と歯の間です。歯と歯の間は、ぴったりと閉じているなど、歯ブラシの毛先が届かないのです。歯と歯の間の歯垢は歯ブラシのみでは、58%しか除去できなかったという報告もあります1)。
 そこで、登場するのが歯間清掃具です。代表的な歯間清掃具は、デンタルフロス、歯間ブラシです。デンタルフロスは歯と歯の隙間が少ない人、歯間ブラシはサイズが豊富なので、隙間の大きな人にも対応します。適切なサイズは、歯科医院でご相談下さい。デンタルフロスは巻尺のようなものと、ハンドル式があります。巻尺式は約30cmの長さに切ってデンタルフロスを使います。指先から肘くらいが目安です。デンタルフロスを指に巻きつけて使用します。デンタルフロスも歯間ブラシもコツは歯に沿わせて使用することです。歯と歯の間を意識しないで歯間清掃具を使うと、ただ間の空間に器具を通しているだけになってしまう場合もあります。左右の歯に沿わせて使うのが良いでしょう。
正しく、楽しく、効率的にお口のケアをしてみて下さい。

デンタルフロスの長さの目安。




歯間ブラシをしならせて歯に沿わせている。☆印の歯に沿わせているところ。

参考:

1)山本 昇:Interdental Brush と Dental Floss の清掃効果について 日本歯周病学会誌, 17: 258,1975

執筆者のご紹介
川原綾夏

神奈川県歯科医師会・横浜市歯科医師会 会員

〒236-0045
神奈川県横浜市金沢区釜利谷南2-3-23
カナリア歯科クリニック 院長

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