災害時の健康維持に重要なお口のケア

8月31日(月)放送のtvk「猫のひたいほどワイド」内、健康!歯っピーライフのコーナーの紹介です。
このコーナーは、歯やお口の健康に関する情報を神奈川県歯科医師会広報委員の川原が伝える月に1回のコーナーです。
8月のテーマは「災害時の健康維持に重要なお口のケア」でした。

毎年、8月30日から9月5日までが防災週間です。防災週間は、国民が台風や地震などの災害に対して、認識を深め、災害の心構えをするという目的で制定されています。大正12年9月1日に起こり死者・行方不明者10万人超という被害をもたらした関東大震災にちなみ、この時期を防災週間としています。

大きな災害時には、避難所での生活を余儀無くされることもあります。避難所では、必要な物資として飲料水や食料が優先されます。生活に必要な十分な水や歯ブラシなどの衛生用品はすぐには手に入らないかもしれません。もし、お口の中のケアが十分に出来ないと、どうなるでしょうか。お口の中の細菌が増えてしまい、口臭がしたり歯ぐきが腫れたり等、口の中のトラブルにつながります。また、お口の中の細菌が全身の病気につながる場合もあります。誤嚥性肺炎は災害時に気をつけなくてはならない、命に関わる病気です。

飲み込む力や咳をする力が弱くなることにより、食道に入るはずの食物や唾液、口の中の細菌などが、気管に入ることにより発症するのが、誤嚥性肺炎です。肺炎は調査年によって変動はありますが、日本人の死因の第3位を占める病気です。肺炎患者の約7割を75歳以上の高齢者が占め、また高齢者の肺炎のうち7割以上が誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎の発症には、喉の筋力の低下や口の中の細菌数が関連しています。

1995年1月に起きた、阪神・淡路大震災では、震度7を記録し死者数6000人超という被害をもたらしました。その中で、震災関連死(地震の直接的な死因:圧死や焼死など以外)の被害者は922人でした。阪神・淡路大震災の震災関連死のうち、およそ25%が肺炎による死亡でした1)。肺炎の原因としては、避難所生活において、感染予防対策が十分に取ることができなかったために生じたインフルエンザの蔓延、口腔清掃不良がもたらした誤嚥性肺炎が考えられます。
避難所生活にて誤嚥性肺炎にかからないためには、どうしたら良いでしょうか。誤嚥性肺炎の原因は、お口の中の細菌です。細菌は歯垢(プラーク)の中に集まっています。歯垢を除去するためのアイテムを防災グッズの中にご用意ください。歯ブラシ、洗口液があると良いでしょう。洗口液の中には、口をゆすいだあと、水で再度ゆすがなくても大丈夫なものもあります。水が不足している場合に役に立ちます。


5年間の保存が可能な液体ハミガキ

避難所生活においても、可能な限りメリハリをつけて生活をすることが大切です。食事をしたら、すぐに歯磨きをする習慣を維持し、ダラダラ食べ続けることは控えた方が良いでしょう。
歯ブラシが手元にない場合でも口腔清掃は可能です。水やお茶で、しっかりと口をゆすぎます。ティッシュやガーゼなどで歯垢をぬぐいましょう。そして、また口をゆすぎます。


ティッシュを指に巻いて歯垢をこすり取る

誤嚥性肺炎予防のためには、日頃からのお口のケアが重要です。ご自身のケアと合わせて、歯科医院での専門的な口腔ケアを受けることをお勧め致します。大規模な災害時は、歯科治療を行うことができないので痛みやトラブルが起きない、歯と口の健康づくりを日常から行うことが大切となります。

1)データで見る阪神・淡路大震災 神戸新聞NEXT
https://www.city.kobe.lg.jp/safety/health/touhoku/img/goenseihaienn.yobou.pdf(最終閲覧2020年9月)

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