社会的な重要性が高まる歯科衛生士の仕事
- 執筆者
- 神奈川県歯科医師会・鎌倉市歯科医師会 原 宣道
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2026/04/28 - 歯とお口の基礎知識
歯と口腔の健康は、「おいしく食べる」「楽しく話す」など、生活の質(QOL)を維持・向上する上で不可欠なものです。
歯と口腔の健康と全身疾患との関係が明らかになってきた近年、さらに新型コロナウイルス感染症の重症化予防に口腔ケアが大きく寄与するという認識も一般的になっています。
市民の皆さんに歯科医院や病院、介護施設などで口腔ケアについて直接ご指導し、ご相談などをお受けする業務は、現状、歯科医師だけでなく、その多くを歯科衛生士が担っています。
今回は、急速に高齢化が進展する日本において、ますます社会的な重要性が増す、歯科衛生士の仕事についてお話しします。
歯科衛生士の認知度は低い?
私の歯科医院で歯科衛生士による施術を受けられた患者さんから、「今日、担当してくれたカンゴフさんはとても親切でよかったわ」と、ありがたくも微妙なズレのあるお褒めの言葉をちょうだいすることがあります。
こうしたことから、歯科衛生士についての認知度は高いとはいえないのだなと感じます。
毎年発表される「小学生の将来なりたい職業ランキング」をみても、常に「看護師」が上位にランクインしているのに、「歯科衛生士」はまず見かけません。小学生から見た「白衣を着た医療人」のくくりからすれば、歯科衛生士がランクインしてもよいと思うのですが、これは邪推というものでしょうか。
歯科衛生士に求められる3つの業務
歯科衛生士は、高等学校卒業後、歯科衛生士養成機関(専門学校、短大、大学等)で3年間以上、歯科衛生士に求められる知識と技術を習得したのち、国家試験を合格した者に与えられる国家資格です。
歯科衛生士に対しては、歯科衛生士法により次の3つの業務が定められています。
1.歯科予防処置
歯科医院を受診した際、歯科衛生士による歯石除去やフッ素塗布の施術を受けられた経験をおもちの方もいらっしゃると思います。歯科衛生士は、歯科の二大疾患であるむし歯と歯周病の予防処置を行う専門家です。
2.歯科診療補助
歯科診療は、歯科医師を中心とした「チーム医療」で行われています。歯科衛生士は、歯科医師の指示のもとで診療を補助するだけでなく、歯科治療の一部を担当するなど協働で治療にあたっています。
3.歯科保健指導
歯科衛生士によるブラッシング指導を中心としたセルフケアの支援は、幼少期から高年期まで各年代に合わせた配慮が必要な大切な仕事です。さらに、近年では寝たきりや要介護の方に対する訪問口腔ケア、よく噛むことや飲み込む力をアップさせる摂食・嚥下機能訓練も新たな歯科保健指導の分野として注目されています。
若い人たちに目指して欲しい
歯科衛生士の主な勤務先は歯科診療所ですが、ほかにも病院や市区町村、介護施設など多岐にわたります。2018年度のデータをみると、歯科衛生士の求人倍率は20倍以上と高く、それだけ社会から求められている仕事であるといえましょう。
また、歯科衛生士が女性に人気が高い職業である理由の一つに復職のしやすさがあります。基本的に夜勤はありませんし、家庭や育児と仕事を両立しやすい勤務体制の診療所が多いのが特徴です。
結婚・出産などで一度離職しても、国家資格を活かした知識と技術があれば、御自身のライフステージに合わせ生涯にわたり続けていける職業といえます。
「多くの人の健康を支えたい」「人と接することが好き」「細やかなこと、キレイにする作業が好き」といったタイプの方は、歯科衛生士という職業に向いているかもしれません。
健康づくりのプロフェッショナルともいえる歯科衛生士、未来ある多くの若者たちにぜひ目指していただきたいと願っています。
原歯科医院院長 鎌倉市歯科医師会 原 宣道
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原 宣道神奈川県歯科医師会・鎌倉市歯科医師会
原歯科医院



