「噛めるお口」と「噛む食事」が健康を作る?!

フレイル予防のためのお口作りとは

 近年注目されている「フレイル」という言葉をご存知でしょうか?フレイルとは、健康長寿の妨げになる可能性が高いと言われる「老化に伴った筋力や活動が低下している状態」を指します。フレイルは、正しい対応をすれば生活機能の維持・向上が可能だということが大きな特徴です。1)そのためには、早期からの対策が重要で、フレイル予防のための食事の工夫では、たんぱく質をしっかりと摂ること大切だと言われています。2)
 一方で、年齢とともに肉類の摂取が減少し3)、さらに歯の本数が少なくなると、肉類などの摂取量が減ることも知られており)、たんぱく質をしっかりと摂取するためには、お肉などをしっかり噛んで食べられるお口作りが早期から対応ができるフレイル予防のキーワードと言えます。

噛めるお口?噛めないお口?

 では、しっかり噛んで食べるお口作りのためにはどうすればいいのでしょうか。
 歯の数やかみ合わせなど、様々な理由でしっかり噛むことが難しくなりますので、ご自身の歯を健康に保つこと、例えもし失ったとしてもしっかり補っていけば大丈夫です。

噛めない時の食事は?栄養は?

食べられるお口作りとしては、歯の本数だけではなく、食べる機能の観点から考える必要があります。よく噛めるお口のグループと噛めないお口のグループでの食事を比較すると、たんぱく質やビタミン・ミネラル類(お肉や野菜)等の摂取量が少なくなり、ごはんやパン、麺類などの穀類が中心になることが分かっています。つまり、噛む力が低くなると、やわらかく食べやすい炭水化物などに偏った食事が多くなってしまうのです。5)

【イメージ】

左:噛めるお口の食事 右:噛めないお口の食事

 

現在の食事内容をチェック!

 また最近では、〇〇を食べればカラダにイイ!などの単一な食品や栄養の摂取ではなく、さまざまな食品をバランスよく食べることがフレイルの重症度と関係している事が示されています。6)
この「バランス良く食べる」事の指標の1つが「食品摂取多様性スコア」で、肉類、魚介類、卵、牛乳、大豆・大豆製品、緑葉色野菜類、海藻類、いも類、果実類、油脂類の10食品の摂取状況をみるものです。(図1)
あなたの今の食事のバランスはいかがでしょうか。普段の食事を思い出してみて、チェックしてみましょう。

(図1)食品摂取の多様性スコア7)



合計得点が低いと、身体を作る「たんぱく質」が不足しがちな食事の傾向に…




 様々な食品を食べることは「お口をしっかり動かすこと」=「噛むこと」に繋がります。とはいえ・・あまり考えすぎず、食事は「ゆっくり」「おいしく」「たのしく」。
 今は便利な加工食品や、インスタント食品もたくさんあります。お買い物の時には食品の組み合わせに工夫して、「噛む食事」になるよう食品の数を意識することをオススメします。

 おいしく食べ続けるための歯とお口の健康を守ること、それがいつまでも自分らしく健康でいきいきと過ごす身体を守ることにも繋がります。まずは⻭科医院で定期検診を受けてみませんか。

参考論文

1)厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業) 総括研究報告書 後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究 研究代表者 鈴木隆雄
2)葛谷雅文、日本内科学会雑誌第104巻第12号2602~2607,2015
3)令和元年度国民健康栄養調査 第1部 栄養素等摂取状況調査の結果 第5表の1 食品群別摂取量
4)Iwaki M. et al.Community Dent Oral Epidemiol 2010:38(1):43-9
5)本川佳子、咀嚼機能と栄養素等摂取量・食品群別摂取量、老年歯科医学、34:1、2019
6)Motokawa K.. et al J. Nutr. Health Aging 2018:22(3):451-6
7)渡辺裕、本川佳子 オーラルフレイル対策のためのお口の運動と食生活 2020,24

引用:渡邊裕、本川佳子 オーラルフレイル対策のためのお口の運動と食生活
画像提供:クリニコ認定栄養ケア・ステーション Eat for a smile

神奈川県歯科医師会・海老名歯科医師会会員
ユーカリ歯科医院 千葉 容太

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