植物由来の歯ブラシ登場!

2020年7月からプラスチック製レジ袋が有料化され、プラスチックの環境への影響が注目されています。プラスチックの利点は、軽くて丈夫。さびや腐食に強い。衛生的。成形しやすく、大量生産が可能なことなどが挙げられます。プラスチックが製造・製品化されて60年と歴史は浅いですが、プラスチックの便利さは絶大で第2次世界大戦後に急速に生産が拡大しました。プラスチック製品は日常に溢れていて、周りを見渡せば多くのものにプラスチックが使用され無くてはならないものとなっています。一方で、プラスチックが廃棄物になった時の影響が大きいことが現在問題となっています。石油から作られ資源にリミットがあること、焼却した時にCO2を排出し地球温暖化の原因となること、海に流出したマイクロプラスチックが生態系に影響を及ぼすことなどが問題として挙げられます。
プラスチック問題を「SDGs」にあてはめて考えてみます。SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2030年までに持続可能でより良い世界を目指すために、17の大きな目標と169の具体化した目標を国連が掲げています。プラスチック問題は、7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに、13:気候変動に具体的な対策を、14:海の豊かさ守ろう、15:陸の豊かさも守ろう、に大きく関わっていると言えるでしょう。SDGsのロゴが丸い輪で表されている通り、それぞれの目標は他の目標にも関連して影響し合うので、その他の多くの目標にもプラスチック問題は関連がありそうです。スェーデンの歯ブラシメーカーもSDGsの目標を掲げ、プラスチック問題に取り組んでいます。スェーデンは世界的に有名な環境保護活動家の少女が活躍しており、環境先進国のイメージがあります。
スェーデンの歯ブラシメーカーでは、植物由来のプラスチックで作られているGOODシリーズを販売しています。従来のプラスチックは石油由来です。プラスチック製品の、日本でのリサイクル率は約25%と全てのプラスチックがリサイクルされている訳ではありません。廃プラスチックの中には焼却されるものもあり、焼却時に排出されるCO2は、地球温暖化の原因となっています。一方で植物由来のプラスチックは、植物の成長過程の光合成によりCO2を吸収することで、焼却時のCO2排出の影響をゼロに近づけることが出来ます。この考えをカーボンニュートラルといい、実現している企業も増えています。身近なところでは、コンビニのサラダ容器やおにぎりのフィルムなどが、植物由来のプラスチックとして使用されています。植物由来のプラスチックの代表的な原料植物はサトウキビです。サトウキビは成長が早いこと、砂糖を精製した残り部分をエタノール化してプラスチック材料とするため食料との競合が起きにくいことが利点です。サトウキビから作られたエタノールを脱水し、エチレンを重合してバイオベースポリエチレンを作ります。石油からポリエチレンを作る場合も石油を蒸留してエチレンを作るので、出来上がるものは同じポリエチレンです。植物由来の歯ブラシも従来の歯ブラシと使用感に差はありません。それは、同じプラスチックという素材で作られているためなのです。同じ素材を加工するため、製品化する課程で従来と同じ設備を使用できることも環境にとって良い点です。
環境問題は、既存の安心・安全・利便性を大きく減らして取り組むものではないと思われます。歯ブラシ1本のプラスチック量は、そんなに多くないかもしれませんが、積もり積ると結構な量となります。日本では1年間におよそ4億本、世界でみると36億本の歯ブラシが使用され廃棄されているとのことです。36億本の歯ブラシは、並べると地球13周半の長さにもなります。歯ブラシ1本から環境問題に取り組む、そんなECOな歯ブラシが広まりつつあります。

神奈川県歯科医師会・横浜市歯科医師会会員 川原綾夏

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