猫背、巻き肩、食いしばりの悪循環~1つあったら他の2つも注意しましょう!~

猫背、巻き肩、食いしばりの意外な関係性

 猫背、巻き肩、食いしばりというタイトルをご覧になって、「これはどんな三題噺(さんだいばなし)かな」と思われた方も、少なからずおられるだろうと思います。
 スマートフォンやゲーム機を長時間使用し、操作に没頭しているときの姿勢を想像してみてください。恐らくは、知らず知らずのうちに背中をまるめ(猫背)、肩をすぼめ(巻き肩)て夢中で画面に見入っている方が多いことでしょう。そんなとき、上下の奥歯を強く噛みしめていませんか?
 仕事中、コンピューターに長時間向き合っている人も、無意識に歯を食いしばっていることが多いと言われています。普段のリラックスしているときには、上下の歯がかみ合わさっていなくても、仕事中は、ついつい上下の奥歯を強く噛みしめていることが多いようです。このように噛みしめ癖のある人は、得てして猫背や巻き肩になりがちで、さらに肩こりや頭痛などに悩まされることが多いともいわれています。

上下の奥歯は触れ合っていないのが理想

 意外に思われるかもしれませんが、実は上下の奥歯は食事や会話のとき以外には接触していないのが理想なのです。かみ合わせに関して言えば、上下の奥歯が触れている時間は1日に20分程度といわれています。通常は、「安静位空隙(あんせいいくうげき)」といって、唇を閉じていても上下の奥歯の間に2〜3mm程度のすき間を保っているとされています。
 猫背、巻き肩、食いしばりの3つのうち、どれか1つに覚えがあるようでしたら、3つとも関連しているかもしれません。
 日中、上下の奥歯を噛みしめていることに気づいたら、口を開けて、口を閉じる際に使用している筋肉(咬筋)を緩めましょう。同時に背筋を伸ばして猫背を正し、両肩を後ろに動かして胸を張り、巻き肩を直すようにしてください。
 また、3つは相関関係にあるので、猫背や巻き肩に気づいたら、噛みしめていないか確認してみましょう。

 こうして日中の症状を直すことができても、寝ている間の食いしばりを防ぐことはできないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、食いしばりは日中、夜間を問わず無意識の癖になっていることから、ご紹介したような日中のセルフチェックと対策に努めれば、少しずつ軽減していくことが期待できます。

 「無くて七癖」といわれるように、長年、身についた癖に気づいて直すのは、なかなか容易なことではありません。
 コロナ禍でリモートの仕事や授業が増えたいまこそ、猫背、巻き肩、食いしばりをセルフチェックし、改善する機会としてはいかがでしょうか?

神奈川県歯科医師会・厚木歯科医師会会員
あさひ矯正歯科医院 隅田能英

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