小さなお子さんの歯みがき~歯みがき剤は使う?使わない?~

「幼児期の歯みがきは、歯みがき剤を使ったほうがいいでしょうか?それとも歯みがき剤を使わず、うがいだけにしたほうがいいでしょうか?」

 乳幼児歯科健診(1.6歳児・3.6歳児健診)を行っていると、保護者の皆さんからこのような質問を受けることがあります。

 保育園や幼稚園によっては、歯みがき剤の使用を推奨しないところもあると聞いています。
 その理由としては、「幼児期はうがいができないため、歯みがき剤を飲み込まないようにしたほうがよい」という考えかたがあるようです。

子ども用の歯みがき剤は飲み込んでも大丈夫!

 歯科医の立場から申し上げると、「お子さんの歯が生えたら、歯みがき剤を使って歯みがきをしてください」ということになります。
 ただし! これには、「子ども用の歯みがき剤を使う」という条件がつきます。

 では、「歯みがきのあと、うがいできなくてもいいの?」と思われるかもしれません。
 できなくていいんです。子ども用の歯みがき剤は飲み込んでかまいません。

 そもそも子ども用の歯みがき剤は、お子さんが飲み込むことを前提につくられています。
 子ども用の歯みがき剤に配合されているフッ素を摂取することが丈夫な歯や骨の形成を促してくれますので、飲み込むことはむしろいいことでもあるのです。
 もちろん限度はありますが、毎日の歯みがきで使う量であれば何の健康上の問題もありません。

幼児期の歯みがきは「健口習慣」をつけるための第一歩

 子ども用の歯みがき剤は、大人用とは用途が違います。
 一般に市販されている大人用の歯みがき剤は、歯の汚れを落としやすくするため研磨剤や発泡剤などが入っており、歯がしみたり、歯周病を防ぐ成分が含まれたものもあります。

 これに対し、子ども用の歯みがき剤にはこうした成分は入っておらず、主にフッ素など歯の健康を守るための成分が含まれています。
 このため、注意書きに「歯をみがいたあと、お口をゆすがないでください」と書いてある商品もあります。

 ですから、うがいができないお子さんでも子ども用の歯みがき剤は使っていいんです。
 というより、幼児期から歯みがき習慣をつくるため、むしろ積極的に使われることをお勧めします。

 幼児期の歯みがきは、一生自分の歯で食べられるようにするためのファーストステップ。
 最初は保護者の皆さんが手助けしながら、お子さんが率先して歯みがきするように導き、上手にできたらほめてあげましょう。
 歯は健康の入り口、ぜひ「健口習慣」をつけてあげください。

神奈川県歯科医師会・大和綾瀬歯科医師会会員
セントルカ眼科・歯科クリニック 岡田 誠二

参考文献

フッ化物配合歯磨剤に関する日本口腔衛生学会の考え方(日本口腔衛生学会 フッ化物応用委員会)
東京都内における小児およびその保護者のフッ化物配合歯磨剤の利用状況(口腔衛生会誌 J Dent Hlth 53:121-129,2003)

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