生活の中にみられる歯につながりのある故事・ことわざ

生活の中にみられる歯につながりのある故事・ことわざ

あなたはこの言葉を知っている?

故事・ことわざの中に歯に関係するものが案外多いです。このことからみても歯が私たちの生活とぴったりと結びついていることがうかがわれるでしょう。

今回の特集では、この歯に関係する故事・ことわざに目をとめてみました。そのでき方や意味を調べながら、あらためて歯の健康生活を考えてみましょう。

「歯」が登場する“ことわざ”のいろいろ

奥歯にものがはさまる ものの言い方が率直でなく、なんとなく裏に悪意やとげを持っているような、気になる言い方の形容である。
ごまめの歯ぎしり 力のない者が、やたらに憤慨し悔しがるのを、そばから見ていて冷やかす言葉。ごまめはカタクチイワシという小さなイワシを干したもので、そのイワシのように力のないものが、いくら歯ぎしりをして悔しがっても、どうにもならない、という意味である。
歯牙(しが)に懸くるに足らず 相手としてまるで問題にしないこと。眼中にないこと。
歯に衣(きぬ)を着せない 思っていることを遠慮しないではっきりいうこと。歯に着物を着せて、つつみかくしたりしないという意味である。
歯が立たない 力が違い過ぎて、とてもかなわないこと。
歯の根も合わない 寒さや恐ろしさのために、身体の震えが止まらないこと。
目には目を、歯には歯を 害を加えられたら、それに相当する報復をすること。自分の目をつぶされたら相手の目をつぶし、歯を抜かれたら歯を抜く、という意味で、昔、バピロニアという国の法律に書かれていたもので、キリスト教の聖書にも出ている言葉である。
歯が浮く 相手の軽はずみな態度や、きざな言葉を見たり聞いたりして、不快な気持になる様子。

「歯」が入っている四字熟語

唇歯輔車(しんしほしゃ) 唇歯は唇(くちびる)と歯。輔車は頬骨と歯ぐき。どちらの関係も密接なところから、一方が滅びれば他方もまた成り立たなくなる関係をい指す。
切歯拒腕(せっしやくわん) 歯を食いしばり、自分の腕を自分で握りしめて、非常に怒り、ひどく悔しがる様子。
明眸皓歯(めいぼうこうし) 澄んだ美しい眸(ひとみ)と整った皓(しろ)い歯のこと。美人の形容詞でもある。

たくさんある「歯」についての“言い伝え”

あなたの生活の中に活かしましょう。

  • 歯の抜けたときは、上の歯ならば床下に、下の歯ならば屋根に投げると、後の歯が具合よく生えてくる(乳歯が生えかわるとき)
  • 歯の生えない子に山芋を食べさせると歯が生えない
  • 前歯のすいている者は親に早く別れる
  • 春の雪と歯抜けの狼はこわくない
  • 歯が生えて生まれる子は鬼子
  • 歯の抜けた夢は不吉
  • 歯が痛むときは碁盤を拝むと良い
  • 歯が生えるまでは赤子に鏡を見せてはならない

「唇歯輔車」といわれるごとく、歯と唇にはとくに密接な関係があります。この唇にも古い言い伝えがあるので最後に紹介します。

唇薄き者は多弁、そして唇厚き女は多情といわれています。さらに“唇にホクロがあれば、一生おいしい物が食べられる”とか。それにしても丈夫な歯があってこそで、“歯がだいじ、食べる楽しみいつまでも”を改めて再認識したいものです。