
いまや国民の2人に1人ががんになる時代。
しかし、がんの中でも、案外知られていないのが、口の中にできるがん「口腔がん」です。
そもそも口腔がんとはいったいどんなものなのでしょうか?
また、どうしたら早期発見、そして早期治療に結び付けていけるのでしょうか?
わかりやすくお話していきます。
口腔がんとは?
まず、口腔(こうくう)とは口の中のことをいいます。ですので、口の中にできるがんのことを「口腔がん」といいます。口腔がんは舌や歯肉、頬の粘膜など口の中のさまざまな場所にできます。発症率はがん全体のうち1~2%と低いものの、国内では年間7000名以上の人が罹患しています。
口腔がんは他のがんと同様に、早期発見・早期治療をしていければ治癒が見込めます。しかし進行すると、しゃべることや食べることが困難になるばかりか、病変が顔面に露出することもあり、QOLつまり生活の質を著しく損ねてしまいかねませんし、さらには生命に関わる重大な疾患なのです。口腔がんを発症するのは、一般的には中年以降といわれ、男女比は男性がやや多く、近年では高齢化を背景に患者数も増加傾向にあります。
口内炎かと思ったら・・・気になったらすぐに診察を
「口内炎かと思ったら口腔がんだった」ということがあるくらい、初期段階では自覚症状に乏しく、また症状も口内炎と区別がつかない場合もありますので気をつけましょう。口内炎は長くとも2週間程度で治癒しますので、それ以上長引く場合や痛みや出血を伴う場合などには、ぜひ歯科の受診をお勧めします。また痛みなどの自覚症状はなくても、長期間にわたって粘膜の表面が白くなったり赤くなったりしている状態も、その後にがん化する恐れもあるので、注意が必要です。気になったらまずは診察を受けましょう。
口腔がんになりやすいリスク要因とは?
口腔がんの原因は他のがんと同様、単一の要因でなく、いくつかの因子が重なり多段階的に発症するものです。ただし「喫煙」「飲酒」による口腔がんのリスクは疫学的にも実験的にも実証されています。ちなみにインドやスリランカなど、噛みタバコの習慣がある人の多いアジアの国や地域では、口腔がんの発症頻度がきわめて高いことは古くから知られています。
またアルコールそのものには発がん性はありませんが、アルコールを摂取した際の代謝産物であるアセトアルデヒドは口腔粘膜に直接、また間接的にも作用します。アセトアルデヒドを分解する酵素があるのですが、遺伝的に持っている人と持っていない人がいます。お酒を飲むとすぐに顔が真っ赤になる人は、アセトアルデヒトを分解する酵素がないタイプかもしれません。そうでなくとも飲み過ぎは禁物です。飲酒が口腔がんのリスクを高めることは意識してほしいと思います。
それ以外にも、義歯が合っていないケースや、むし歯が放置され尖っているような場合は口の中の粘膜を刺激する要因となりますので、なるべく早めに治療を済ませておくとよいでしょう。
セルフチェックで早期発見
がんのことを英語でcancerといいます。cancerには十二星座の「かに座」という意味もあります。古代ギリシャの医師ヒポクラテスは、進行するがんを観察した際、かにの甲羅のごとく、硬く、赤く、白く、いびつに、周囲に食いつき広がる様をみて「かにのようだ」と連想し、名付けたとされています。
現在、胃がん、肺がん、大腸がんといった発症率の高いがんについては多くの自治体や医療機関によって積極的に検診が行われています。がんをなるべく早期に発見し治療することは社会的にも重要な課題であるからです。
口腔は、レントゲンや内視鏡など特別な機械や器具を使用しなくても直接目で見て、手で触れられる部位です。かにのような病変を直接確かめられるのが口腔がんです。日頃から鏡を用いて、ご自身でセルフチェックを行い、また歯科受診される際は口腔全体をチェックしてもらうことが、口腔がんの早期発見には大切です。
(鎌倉市歯科医師会 原歯科医院 原 宣道)
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原 宣道神奈川県歯科医師会会員・鎌倉市歯科医師会会員
原歯科医院



