ご存じでしたか?歯周病は認知症を悪化させることがあります

認知症とは

認知症とは、一度獲得された知的機能が後天的な脳の機能障害によって全般的に低下し、社会生活や日常生活に支障をきたすようになった状態で、それが意識障害のないときにみられるもの1)と定義されています。日本での65歳以上の認知症有病率は15%以上と推計されます。加齢と共に認知症の有病率は上昇し、90歳を超えると2人に1人が認知症と診断されます。
認知症の病型の中でもアルツハイマー型認知症が最頻で65%以上を占めます。アルツハイマー型認知症はドイツ人医師であるAlzheimerが1901年に1人の50代の女性患者を診察し発表しました2)。Alzheimerは後にアルツハイマー型認知症患者では、脳の萎縮や脳内に沈着物質があったことも発表しています。アルツハイマー型認知症はおよそ120年前に分かった病気ですが、現在でも原因や治療法など分かっていないことも多い病気です。しかしながら、いくつかの要素がアルツハイマー型認知症に関わっていることも分かってきています。


認知症の病型

アルツハイマー型認知症の脳の変化として、脳の神経細胞に生じる神経原線維変化や脳内のタンパク質のアミロイドβの異常沈着が挙げられます。これらによって神経細胞が死んでしまい、脳の萎縮を引き起こすのではないかと言われています。現在までアルツハイマー型認知症の原因としてアミロイド仮説が長らく支持されています。


アミロイドβの沈着で神経細胞が死に至る?

歯周病の予防は認知症の予防につながる?

最近では、マウスによる検証で、アミロイドβの沈着が⻭周病菌によって増加することが報告されています3)。これはヒトにおいても、⻭周病によって生じる⻭ぐきが腫れてしまうなどのお口の中の慢性的な炎症が、お口の中だけの局所的な炎症 に留まらず、認知症に影響を与えている可能性があることを示唆しています。特効薬の開発も望まれますが、まずは⻭周病予防と治療をしっかりと行っていくのがよいでしょう。⻭周病は、初期の段階では無症状のこともあり気づきにくい病気です。⻭科医院で⻭周病の検査を行い適切な治療を受けることが何よりも大切です。

1)日本神経学会.認知症疾患診療ガイドライン2017.株式会社医学書院.2017
2) ニューズウィーク日本版.世界の最新医療2021. 株式会社CCCメディアハウス.2021
3) Fan Zeng. Receptor for advanced glycation end products up-regulation in cerebral endothelial cells mediates cerebrovascular-related amyloid β accumulation after Porphyromonas gingivalis infection. Journal of Neurochemistry.2020

神奈川県歯科医師会・横浜市歯科医師会会員 川原綾夏

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