オーラルフレイル②
~オーラルフレイルは低栄養、要介護状態のサイン~

オーラルフレイルは低栄養、要介護状態のサイン

わたしたちの健康を支える3つの要素である栄養、身体活動、社会参加のうち、栄養についてはお口の健康を維持・向上させることがきわめて大切です。
日常生活で何となく会話しにくかったり、噛めない食品が増えたり、むせたりといったお口のささいなトラブルを感じたら、「年のせい」と諦めずに適切な対策をとる必要があります。
このようなお口のささいなトラブルを見過ごしてしまうと、次の段階として食欲低下やお口の機能低下(噛む力や舌の機能の低下など)が生じます。こうした状態をさらに放っておくと、低栄養、サルコペニア(筋肉減少症)のリスクが高まり、食べる機能の障害を引き起こすおそれがあります。
こうした一連の現象と過程を「オーラルフレイル」といいます(図4)


図4

「年のせい」と諦めないで


図5

つまり、お口のささいなトラブルを「年のせい」と諦めて放っておくと、自覚がないままに悪循環に陥ってフレイルからサルコぺニア、要介護状態、死亡にいたるリスクが高まるということです。
好きだった固い食べものを避けがちになり、知らずしらずのうちに低栄養状態に陥っていないでしょうか。
歯周病やむし歯などで歯を失い、固い食べものが噛めなくなると、やわらかいものを食べるようになり、噛む機能が低下します(図5)
噛む機能が低下すると、ますます固い食べものが噛めなくなり、やわらかいものを食べるようになるという悪循環に陥って食欲の低下を招くことが懸念されます。
口まわりの“ささいな衰え”を「年のせい」と諦めず、しっかり意識して適切に行動することがオーラルフレイル対策の最初の一歩といえます(図6)


図6

オーラルフレイルの方々は要介護や死亡のリスクが2倍に

千葉県柏市で、実際にオーラルフレイルと身体の衰えの関係を調べた研究結果を紹介します。
介護認定されていない高齢者約2,000人のお口の健康状態を16項目にわたり調査したところ、次の6項目が介護リスクを高める危険なお口の機能の衰えであることがわかりました。


表1

1.自分の歯が20本未満
2.滑舌の低下
3.噛む力が弱い
4.舌の力が弱い
5.「半年前に比べて固いものが噛みにくくなった」と思う
6.「お茶や汁物でむせることがある」と思う

この6項目のうち3つ以上当てはまった16%の方々を「オーラルフレイル」として、引き続き調査しました。
その結果、オーラルフレイルの方々は年齢や病気など多くの要因を考慮しても、フレイルやサルコぺニア、新たな介護認定、死亡にいたるリスクが約2倍も高いという結果でした(表1)。

※Tanaka T,Hirano H,Watanabe Y,Iijima K.et al.Oral Frailty as a Rick Factor for Rhysical Frailty and Mortality in Community-Dwelling Elderly.*J Gerontol A Biol Sci Med Sci*.2017

ご自身のオーラルフレイルのリスクをチェックしてみましょう

この研究結果が示すように、オーラルフレイルはフレイル、サルコペニア、要介護認定、死亡のリスクが近づくことを知らせるサインといえます。
逆にいえば、口まわりの“ささいなトラブル”を「年のせい」と諦めず、適切な対策をとることが健康長寿の実現につながるといえます。
オーラルフレイルは簡単にチェックできます。
表2に示した質問票の8項目のうち3点以上となった場合はオーラルフレイルの危険性がありますので、かかりつけの歯科医院に相談され、必要な対策をとられるようお勧めします。


表2

神奈川県歯科医師会 理事 佐藤 哲郎

前回:オーラルフレイル①~フレイル・オーラルフレイルを予防し健康長寿を目指しましょう~

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